【宮城県】宮城県がJICA理事長表彰を受賞 ~マラウイでの農業水利人材育成に貢献~

2020年10月26日

 JICAでは、国際協力事業を通じて開発途上国の人材育成や社会・経済発展に多大な貢献をされた個人・団体に対し、その功績をたたえ表彰を行っています。第16回を迎える本年は、マラウイ共和国における農業水利人材の育成に多大な貢献をされた宮城県農政部が受賞し、10月15日(木)JICA東北とJICA本部を中継したオンライン表彰式に出席いただきました。

青年海外協力隊と草の根技術協力 2つのJICA制度を連携

青年海外協力隊員、草の根技術協力事業の専門家、マラウイの農業水利技術者が農地かんがい施設について意見交換を行う様子(写真:宮城県)

 アフリカ大陸南部に位置するマラウイ共和国は、日本の約3分の1の国土面積で、労働人口の約80%が農業関係の仕事に従事しています。しかしながら、マラウイではかんがい整備が充分でなく、雨季の天水に依存した小規模農家が大半を占めている状況であり、食料の保障や農家の収入向上の面において多く課題を抱えていました。
 宮城県農政部は、これらの課題解決に協力するため、2010年から2015年にかけて3名の県職員(農業土木技術職)を青年海外協力隊として派遣し、2011年から2020年にかけて3つの草の根技術協力事業を実施し、マラウイへの技術移転を行いました。
 自治体職員の青年海外協力隊への連続派遣と、草の根技術協力事業をあわせた国際協力事業の実施は、全国でも初めての画期的な取り組みでした。

日本の在来工法をマラウイに移転

本邦研修にて粗朶工法を学ぶマラウイの技術者(写真:宮城県)

 特に草の根技術協力事業では、複数の現地かんがい事務所と協力し、小規模かんがい施設の展開、農業水利技術者の育成、情報や技術共有のための組織体制の強化を図りました。
 マラウイの技術者を日本に招いた本邦研修では、宮城県や東北地方の水利施設の維持管理や土地改良区など住民組織について学びました。日本の伝統的なかんがい工法(粗朶工法)は、マラウイで調達可能な木材、竹、石などを利用し河岸や用水路を整備するなど、現地農家でも維持管理可能なかたちで定着と普及が進んでいます。
 宮城県とマラウイ両国の技術者や農家の方が10年かけ、マラウイの状況に適した技術協力を行ったことにより、マラウイの技術者自らが取り組む持続可能な農業水利技術移転と人材の育成が図られました。

宮城県農政部千葉次長(右)へ
東北センター小林所長(左)より表彰状の贈呈

 授賞式に参加された宮城県農政部千葉次長は、「2018年1月に短期専門家としてマラウイを訪問した際、現地の農家の方から、粗朶工法により守られた農地で作物が育ち、収入が増えたことで子どもを学校に通わせることができた、という話を聴き、本当にうれしかった。多くの方の協力をいただきながら本プロジェクトを遂行できたことに感謝いたします。」と話されていました。


 宮城県がマラウイと築きあげた国際協力のノウハウは、今後も様々な場面で活かされていくことが期待されています。
 理事長表彰受賞、誠におめでとうございます。