【オンライン】JICA東北高校生国際協力プログラムを開催しました

2020年12月4日

2020年10月17日(土)、オンラインでJICA東北高校生国際協力プログラムを開催しました。

ある国の大臣になってみよう! 

 今年は、「A国」の大臣になりきって演じる「ロールプレイ」をやりました。まず「A国」はどんな国か、「A国情報カード」をグループみんなで見てみます。人口は日本よりとても少ない、面積もかなり小さい、目を引くのは新型コロナウイルス感染者数・死者数ともゼロ。主要産業は少なく、漁業・農業・観光業。対する日本は主要産業がたくさんあります。
 そんなA国の医療大臣・経済産業大臣・社会福祉大臣・教育大臣になりきって、予算を取るために演説してもらいました。「私は、教育大臣です。学校教育は人にとって必要不可欠な要素。教育環境の整備にもっと投資するべきです!」「私は、医療大臣です。我が国の感染者や死亡者は現在見られていませんが、感染者や死亡者が発生した状況を想定して、ワクチンや特効薬を入手し、国民に行きわたるようする、また、病院や医療設備の充実も必要で、そのため多額の資金が必要です!」
 いきなりの大臣役でしたが、参加者の皆さんは役になりきって演じてくれました。「他の大臣に質問するのも、大臣として質問され、すぐに答えるのも難しかった」「臨機応変に自分の考えをまとめて発表できるようになりたいと思った」「自分は医療が一番重要だと思っていたが、経済産業大臣を演じてみて経済の重要性に気が付いた」等の感想が聞かれました。その立場に立ってみることで初めて気がつくことがあります。

医療保健、教育、経済、福祉… どれが一番大事だろう?

 後半は、高校生の自分に戻ってディスカッション。
 医療、教育、経済、福祉、どれが最優先されるべき?各省同士で共通する課題=複数の省庁でともに取り組むことができることはない?「COVID-19の感染者数がゼロで、一方、仕事を失って経済的に困窮している人がいるのは事実だから今は経済を回すべき」「A国は5歳未満の乳幼児死亡率が日本と比較して非常に高く、医療機関も少ない。もともと保健医療の環境が良くないのかもしれないので、今感染者がいないとしても、病院建設や医薬品確保など保健医療分野に注力すべき」などの意見が出されました。

 また、大臣として予算をもらったとしたらどんな政策を取る?あまり予算をかけずにできることはない?というテーマに対しては、「子どもたちに衛生・疾病予防教育をして、大人にも広げてもらう」「外国人観光客受入れ特別地域のようなものを作り、そこで(インバウンドを)受け入れる。地方から特産品を送るなどしてモノだけを移動させる」「普段観光客が行かないような秘境的なところを“観光客OKスポット”にする。観光地化もできるし、もともと混雑しないところならば密にならない」など、斬新なアイディアが多数出されました。

A国は実在する国をモデルにしていました!

【画像】 最後のまとめで、「A国」のモデルはサモアだったことが明かされます。なんとなく「大洋州かな」と気づいていた人、全く見当がつかなかった人、実在しない国だと思っていた人などなど。サモアでは自給自足と共助で生きていくシステムがあるという説明を受けて、「主要産業が農業、漁業。自給自足ができると外との関りを止めても貧困率へ直結しないのかもしれない」等の分析も見られました。

 今回は、青森・秋田・岩手・山形・宮城各県の高校生に参加いただきました。オンラインだと広い東北でも一瞬でつながれます!同じ東北の高校生同士で熱い議論を交わし、「自分の考えに、他のメンバーが補足しながらまた意見や情報を言ってくれて、自分の考えが深まった」「こういう話題を学校ではなかなか話せないので、とても貴重な経験だった」等の感想が出ました。
参加いただいた高校生の皆さん、ありがとうございました。

(報告:JICA東北市民参加協力課)