【岩手県】JICAと釜石市が連携協定を締結、JICA海外協力隊グローカルプログラム開始

2022年1月20日

独立行政法人 国際協力機構(以下、JICA)と岩手県釜石市は、2022年1月14日(金)に連携覚書を締結しました。
また同日は、釜石市で活動に取り組むJICA海外協力隊グローカルプログラム候補生1名の表敬訪問も行いました。

東日本大震災からの“復興まちづくり”

釜石市は、岩手県沿岸南部に位置し漁業が盛んな街です。橋野鉄鉱山・高炉跡を構成資産とする「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として登録されるなど、近代製鉄発祥の地としても発展を遂げました。
2011年の東日本大震災では津波による甚大な被害を受け、復興公営住宅の整備や高台への集団移転など、市民が一丸となり、復興まちづくりに取り組んできました。
同市の復興まちづくりや防災・減災の経験は、開発途上国にも活かされています。2018年にインドネシア国中部スラウェシ州を震源に発生した地震により、同州は津波による大きな被害を受けました。復興に取り組むインドネシア国の行政官らに東日本大震災での復興まちづくり計画策定や自治体と住民との合意形成の取り組みなどを伝え、インドネシアの復興に活かされています。また、JICA研修員の受け入れなど、同市と開発途上国、双方の復興経験を共有しながら、共に復興する相互復興にも取り組んでいます。

釜石市 野田市長との連携覚書署名式 

(左より)晴山副市長、野田市長、小林所長、川松さん

釜石市との連携をさらに強化するため、小林 雪治JICA東北センター所長が同市を訪問し、野田 武則釜石市長との間で連携覚書に署名を行いました。
具体的には、下記の取り組みを目指しています。

1.JICA海外協力隊グローカルプログラムを通じた地域振興に貢献する人材の育成、帰国後の社会貢献の促進
2.開発途上国からの技術研修員受入れ、開発途上国への専門家派遣、草の根技術協力等の推進
3.企業の海外展開、グローバルな産業人材育成及び外国人材受け入れ支援等の促進
4.国際理解教育、多文化共生の促進

JICA海外協力隊グローカルプログラム 釜石市での活動を開始 

釜石市での研修に向けた抱負を語る川松さん

JICAは、2022年1月より、JICA海外協力隊を開発途上国に派遣する前の研修のひとつとして、「JICA海外協力隊グローカルプログラム(※)」を開始しました。釜石市では、南アフリカ共和国に理科教師として派遣予定の川松 秀夫さんが研修を行います。
川松さんは、研修開始に先立ち野田市長に「限られた期間でなにができるか不安もあるが、住民の方々とコミュニケーションを取り、釜石の将来に貢献できる活動ができるといい」と抱負を語りました。東日本大震災からの復興に取り組む同市にて、教育や防災など、幅広い活動に取り組みます。

※「JICA海外協力隊グローカルプログラム」
本プログラムは、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊が、地域の方々とともに、自治体等が実施する地方活性化や地方創生の取り組みを学び、海外での活動に活かしてもらうことを目的としています。訓練所での派遣前訓練開始前の期間(3か月間程度)に研修を行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、開発途上国での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

(報告者:市民参加協力課 前田)