2022年2月3日
「高校生英語弁論大会」は、国際理解や国際協力に関する主張を英語で行うことを通して、国際感覚が豊かな高校生を育成することを目的として、毎年開催されています。
JICAはこの趣旨に賛同して全国大会を共催、またJICA東北は宮城県大会を後援しています。
宮城県で初めて外務大臣賞(全国最優秀賞)の受賞者となった内ケ崎さん、そして指導・助言を行った仙台二華高等学校教諭・石森広美先生に、お話を伺いました。
(内ケ崎さん)高校2年生の時に参加予定であった英語弁論大会が、コロナ禍の影響で中止になってしまい、とても悔しい思いをしました。そんな時、石森先生に今大会の参加を勧められ、高校生活の集大成だと思って、出場することにしました。
(内ケ崎さん)現地のニーズや価値観、習慣を把握するには、双方向の緊密な対話を重んじ、課題を解決しようとする姿勢が必要だと思います。
このようなコミュニケーションには、実際に現地を訪れるのが最良ですが、コロナ禍の影響で海外に行けなくなってしまいました。そこで私は、Zoomを通してカンボジアの方々と対談し、現地のニーズを確認することができました。
(内ケ崎さん)協力を行う先進国の人々が価値観を一方的に押し付け、単なる物的支援を問題の解決になると考えてしまっている点にあると思います。
私たちが一方的に何かを与えたいと思っても、実際には彼らからすると必要ではないものであったり、支援自体が彼らの住む土地に根付いた歴史や習慣を壊してしまったりすることもあると思います。
大きな目標を掲げて一時的な支援をするよりも、小さくても持続性のある支援を行うことが国際協力のあり方だと考えました。
(内ケ崎さん)全国大会がYouTube上での生配信で行われたことがとても新鮮でした。
当初は全国大会が長崎県で行われる予定で、私は今まで九州を訪れたことがなかったので楽しみにしていましたが、新型コロナウィルスの影響でオンライン開催となりました。
オンラインになったことで、家族全員で結果発表を見ることができましたが、外務大臣賞を受賞したときは、家族も大変喜んでくれました。
(内ケ崎さん)私は今年の春から理系の大学に進学します。大学でIT分野の高度な知識と技能を身につけ、将来はプログラミング教育やIT経営に関するビジネスを起業したいと思っています。対象は主にアジア諸国から来日する外国人技能実習生で、彼らに付加価値の高いスキルを習得できる環境を提供し、途上国の経済発展に貢献すると同時に、少子高齢化が進む日本のIT人材の確保を実現したいと考えています。
(石森先生)本当に伝えたいメッセージを伝える、ということです。英語のパフォーマンスはもちろんですが、本人しか伝えられない思いや考えを深めることが重要であり、本人と一緒に対話を重ねながら内容を吟味しました。高校の活動の集大成として位置づけていたため、悔いのないよう培った力を発揮するようサポートしました。全国一位という夢の実現のお手伝いができて、本当に嬉しかったです。
(石森先生)オリンピック選手に付き添うコーチ・監督のように、本人がベストパフォーマンスを出せるよう指導教員として常に一緒に考え、状況を見て声かけし、最後までしっかりサポートする覚悟が必要だと思います。学習したことや本人の学びがうまく言語化できるよう、十分な対話や指導の時間が必要です。発表することは、学んだことを振り返り、定着させ、次に向かわせる原動力となり、本人の成長に大きく貢献します。まさに「教育」活動そのものです。労力を惜しまず、寄り添ってあげることが大切だと思います。
学校の課題研究活動をきっかけに「真の国際協力とは何か?」を問い続け、先生とともに練習を重ね、見事宮城県初の外務大臣賞に輝いた内ケ崎さん。先の未来を見据えてどんどん前に進む力強さを、とても頼もしく感じました。
内ケ崎さん、石森先生、おめでとうございます!