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【草の根技術協力事業】ミクロネシアで、ソーラーシステム利活用に関するオンライン技術講習会修了証書の授与式が行われました

2022年2月10日

2022年2月8日(火)、草の根技術協力事業「ミクロネシア連邦チューク州フォノトン島でのソーラーシステム利活用プロジェクト」を実施する、特定非営利活動法人ザ・ピープル主催で、ソーラーシステム利活用に関するオンライン技術講習会の修了証書授与式が、ミクロネシアと日本をオンラインで繋ぎ行われました。授与式には、ミクロネシア側から8名、日本側からは実施団体より5名、JICA東北より3名が参加し、笑顔溢れる授与式となりました。

電気がない暮らしと経済的貧困という課題

ミクロネシア連邦は、青く美しい海に代表される自然財産を多く有する一方、いくつもの島で構成される島しょ国のため、島々の中には、未だに電化されていない地域があります。自家発電装置を持たない家庭では電気のない暮らしを強いられています。また、出稼ぎに出た家族からの送金に頼らざるを得ない経済的貧困も課題です。これら状況から、ミクロネシアの非電化地域では、支援物資としてソーラーシステムの提供を受けたこともありますが、ソーラーシステムに関する住民の知識不足及び維持管理能力の課題から、壊れたまま放置される状況が繰り返されていました。
この様な背景から、ザ・ピープルは、ミクロネシア連邦の離島の一つであるフォノトン島において、ソーラーシステムを住民自身で維持管理可能となるよう、技術の提供、指導を行ってきました。また、ソーラーシステムを利用して発電した電力を使い、ミシンを稼働させ、ムームー(現地衣装)等を製作し、島の女性達自らが収入を得る手段を身に付けることにも取り組みました。

コロナ禍での活動—現地とのコミュニケーションを大切に

本事業は2019年10月に活動を開始しました。しかし事業開始早々、現地で発注したソーラーパネルが予定通りに納品されないトラブルや、新型コロナウィルス感染症の蔓延により日本からプロジェクトメンバーが渡航できない状況が続き、事業が思うように進まない事態に直面しました。
数多くの困難な状況を強いられた中ではありましたが、事業を進める大きな契機となったのが、ミクロネシア在住の現地業務補助員の大村剛正さんに、現地活動に尽力頂いたことでした。大村さんは、ソーラーシステムの維持管理技術をプロジェクトメンバーより習得し、そこで得た知見・技術を持って、フォノトン島へ足繁く通い、ソーラーシステムの維持管理に関する指導を島の住民へ行いました。加えて、女性の収入を得る手段となるムームー作りでも、日本と島をオンラインで繋いで、縫製指導や製品確認を行いました。
このような活動の積み重ねと、現地協力機関であるチューク州女性団体の力強いサポートにより、4日間にわたるオンライン技術講習会が実施され、成功裏に終了しました。

若い女性たちの表情や姿勢が、プロジェクト継続や目標達成の力に

笑顔で修了証書を受け取るフォノトン島の女性達

授与式でプロジェクトマネージャーの島村守彦さんは、「事業の中で再び使用できるようになったソーラーシステムを見たときの島民の方たちの表情が忘れられない」と振り返りました。
「プロジェクト活動の中では、想定外の日照条件によりソーラー発電が上手く機能しない、頻繁に発生する落雷によってソーラーシステムの故障を引き起こす等、プロジェクト終了後にも発生し得るトラブルにも直面しました。また新型コロナウィルス感染症蔓延により現地への渡航が叶わず、オンラインで現地とコミュニケーションを図り、原因と復旧方法について検討する中で、現地に適した技術を現地のみなさんと共に考え、ソーラーシステムを作り上げられたことが何よりの成果だった」と語ります。

オンライン技術講習会修了証書授与式の様子

授与式では、実施団体・受講者それぞれが互いに感謝し、笑顔溢れる和やかな雰囲気の中で式が進められました。実施団体のみなさんが現地とコミュニケーションを密に行い、地道に信頼関係を構築してきたことが、現地の女性たちの笑顔からも伝わってきます。
本事業は2022年3月1日をもって終了となりますが、「ミクロネシアのフォノトン島で作られた製品を、日本でも販売可能となるよう、質の向上を目指してほしい」と実施団体代表の吉田恵美子さんは語ります。
事業終了後も現地との交流が継続され、ミクロネシアと日本を結ぶ活動が続くことを期待しています。

(報告者:市民参加協力課 中ノ瀬)