【草の根技術協力事業】『科学的根拠に基づく患者中心の保健医療サービスの向上』完了報告会を開催しました

2021年7月12日

2021年6月28日(月)、福島県立医科大学が中心となり実施し、2021年3月に終了した草の根技術協力事業「ベトナム南部における科学的根拠に基づく患者中心の保健医療サービス向上:大学と医師会の連携イニシアチブ」の報告会が開催されました。

本事業のプロジェクトマネージャーである福島県立医科大学の後藤あや先生、順天堂大学の横川博英先生、鹿児島大学の郡山千早先生から、事業に取り組むきっかけから、活動の拡がり・成果について分かりやすくご報告いただきました。全国から約80名の方が参加し、ベトナムでの活動、事業の成果についての報告を視聴し、発表者との質疑応答も行われました。

事業の背景

急激な経済成長を続けるベトナムでは、医療サービスにおいて、患者の生活の質や患者中心の医療への関心が高まっています。一方で過去の疫学研究データの多くは、欧米の研究に基づくものが多く、自国で患者を対象とした検証が必要であることも判明しました。
福島県立医科大学とホーチミン医科薬科大学を中心とした関係者は、20年にわたりベトナム医療の国際水準化に向け、論文の批判的抄読やデータの管理、統計学的解析方法等を学ぶ研修を実施してきました。2017年より約3年間行った本事業では、独自に継続してきた取組みを基に、患者中心の保健医療サービスの向上のためのノウハウの移転や、指導者となる医師の指導を強化することによる、現地関係者の自主的な人材育成の転換に取組みました。

ベトナムでの取り組み

後藤先生ご発表

横川先生ご発表

郡山先生ご発表

現地では疫学統計に関する研修を2004年から開始し、2011年以降は草の根技術協力事業として研修を継続しました。研修を受講した学生が10年後に講師として研修の運営側となるなど、活動対象の幅が拡がり、受講者は914名にのぼりました。
研修ではPDCAサイクルを受講者自身で実施できるよう取り組み、複数回研修に参加した受講者は、患者への詳細な説明を行う心がけ等、患者とのコミュニケーションにおいて変化を確認することができました。また講師側においても研修を重ねる中で教える技術が向上し、教本の作成も行うようになりました。
また新型コロナ感染症予防に関する患者への聞き取り調査結果についてもご報告いただきました。現在現地では調査に基づき、感染症予防対策を開始している等、コロナ禍という厳しい状況においても、協働して活動に取り組まれています。

参加者の感想

報告会の様子

参加者からは「継続的な信頼関係構築の大切さを改めて学ばせていただきました」や、「3人の先生から異なる視点で活動報告を聞くことができ、当時の状況をイメージしやすく、もっと細かいところまで聞きたくなってしまった」等の感想が寄せられ、現地の方との信頼関係が、現在の活動の拡がりに大きく繋がっていることを感じられる報告会となりました。

ご参加いただきました皆さまありがとうございました。

JICA東北では今後も草の根技術協力事業について発信していきます。