開港までもうすぐ!モンゴル・新ウランバートル国際空港開港に向けて続々と研修中

2017年に開港するモンゴル「新ウランバートル国際空港」の運営を担う人材育成のための研修の様子をレポートします。

北東アジアのハブとなるべく新空港を担う人材を育成

地下のハイドラントパイプと給油車両の接続について視察

モンゴルでは、近年の経済成長を背景に首都空港であるチンギスハーン国際空港の利用者が急速に増えており、今後もさらなる増加が見込まれています。それに対応するため現在、日本の円借款事業として、「新ウランバートル国際空港」の建設が2017年の開港を目指し進んでいます。この新空港は北東アジアの旅客や貨物輸送のハブ(中心)となることを期待されており、モンゴルの発展にとって大変重要です。

新空港がその重要な役割を果たすためには、スムーズな運営と施設の維持管理が必須。日本で培われた高品質なお客様対応、滑走路等の保守、施設維持管理等、幅広い空港運営のノウハウを学ぶために、政府の高官から空港運営の根幹を支えるスタッフまで、幅広い分野に従事する研修員がモンゴルから続々と来日し、成田国際空港株式会社を代表とした企業連合(株式会社JALUX、日本空港ビルデング株式会社)の協力のもと、各専門分野の充実した研修を受けています。

給油に除雪…さまざまな現場から日本のノウハウを学ぶ

モンゴルで新しく導入されるハイドラント方式の給油。研修員のまなざしも真剣です

新空港では貯油タンクから地下に埋設されたパイプで燃料を駐機場まで運び、給油車両を通し給油する「ハイドラント方式」がモンゴル国で初めて採用されることになっており、その運用方法の習得は急務となっています。「給油施設」コースでは、成田国際空港で実際に「ハイドラント方式」を利用した給油作業の様子を視察。成田空港で給油作業に係るMIATモンゴル航空のモンゴル人スタッフにも直接話を聞くことができ、より学びを深めました。

また、空港基本施設の運用・保守を学んだ「土木・除雪」コースでは、成田国際空港における除雪研修に加え、モンゴルと同じく寒冷地である新千歳空港において、同空港における除雪計画に関する講義を受けるとともに除雪車両や車両保管庫の見学等を行いました。寒い真冬の北海道での研修でしたが、さすがは、冬季は厳寒の地であるモンゴルからの研修生。寒さに負けず、モンゴルでの実際の運営にさらに近い現場で知見を高めることができました。

政府高官にとっては空港経営を学ぶ貴重な機会に

燃料の管理についても熱心に質問

「空港施設」コースに参加したモンゴル民間航空庁・副長官をはじめとする政府高官や航空分野の幹部にとっては、空港運用スタッフとは異なる視点で空港計画・経営に係る知識や開港後のビジョンをより明確にするヒントを得ることができる研修となりました。研修終了後にはさらなるノウハウを吸収するための今後の研修への期待の言葉も寄せられました。

新空港の開港に向け日本のサポートは続きます

研修員たちは日本での滞在を通し、専門知識や技術はもちろん、空港運営に欠かせない「おもてなしの心」なども感じ学ぶことができたようです。日本の高品質な空港運営をモンゴルでも実施すべく、日本のサポートはまだまだ続きます。日本のノウハウを取り入れた新空港の開港、そして、新空港が人やモノの流通の拠点になり、モンゴルがますます発展する日が心待ちにされます。

JICA東京 経済基盤開発・環境課 角田 (2016年3月)