山梨県の観光戦略を学ぶ〜アルメニア地方産品と地方ブランドの開発〜

アルメニアの中小企業開発センターより総裁、副総裁をはじめとした10名の研修員が来日。山梨県で観光戦略と地方ブランド確立の手法を学びました。

地域資源を活かした観光振興に向けて

山梨県笛吹市 古民家宿LOOFの前で

アルメニアは1991年にソ連から独立しました。独立後はおおむね順調な経済成長を続けてきましたが、都市と地方の経済格差が問題となっています。このためJICAは、2013年より地域間格差解消を目的とした「地方産品と地方ブランドの開発プロジェクト」を開始(2016年にフェーズ1が終了し、現在はフェーズ2が進行中)、アルメニアの地方産業と中小企業振興の協力を続けています。今回は同国中小企業開発センターから総裁一同が山梨県を訪問し、地方における観光振興手法を学びました。

地方ブランドを世界へ発信

勝沼グレースワイナリーを見学

ノアの方舟が最後にたどりついたといわれるアララト山がシンボルとなっているアルメニア。その歴史は古く、世界最古のワイン醸造所もアルメニアにあったといわれ、アルメニアワイン再興を目指しています。
一方、山梨県では県庁とワイナリーが一体となり「甲州」ブドウという独自の品種を育て、国内のみならずワインの歴史が古い欧州へも輸出するなど、「地方ブランドを世界へ発信」しています。そこへ至るには、山梨県のぶどう農家、ワイナリーの並々ならぬ努力がありました。またそれに応じるため、山梨県庁も「山梨ワイン産地確立推進計画」という戦略を立て、様々な形でこれらぶどう農家、ワイナリーへ支援を行ってきました。このような山梨県の挑戦についての講義を山梨県庁とワイナリーから伺うことで、行政とぶどう農家、ワイナリーという異なる立場の視点から地方ブランド戦略を分析することができました。
講義終了後にはロンドンのコンクールでプラチナ賞を取った甲州ワインをテイスティングさせてもらいました。

古民家再生事業-小規模宿泊施設として-

囲炉裏を囲んで議論をしました

近年アルメニアでは、都市と地方の経済格差のために都市部への人口流出が多く、地方では空き家が目立ってきています。その現状を打開するためのヒントの一つとして山梨県笛吹市にある古民家宿LOOFを訪問、宿泊してきました。
都心から90分という地の利を活かし、都会の若い女性や訪日外国人をターゲットとした古民家宿LOOFの起業事例、またその広報手法についての話を伺いました。講義終了後は研修員の皆さんが所属する中小企業開発センターが同国の中小企業に対し何ができるのか、囲炉裏を囲んで熱い議論が交わされました。

今回の山梨での研修を通じて学んだ「地方から世界へ発信するブランド力とその戦略」がアルメニアの地方観光振興や地方産品のブランド化へ応用されるよう、これからもJICAはアルメニアの中小企業開発センターの皆さんとプロジェクトを進めていきます。

産業開発・公共政策課 山田 芙美