開発途上国理解への一歩 〜JICA長期研修員との意見交換会(東京外国語大学)〜

 2017年5月13、14日に、東京外国語大学で「国際協力論A」を履修している学生達のアクティブラーニングとして、東京国際センター(JICA東京)において学生とJICA長期研修員との意見交換会が行われました。

アクティブラーニングの導入を行う中川講師(右端)

 
 東京外国語大学の中川寛章講師(元JICA職員)による「国際協力論A」は、国際社会学部3年、4年生を対象として実施されるJICAとの連携講座です。開発途上国が直面する諸問題にスポットを当て、各々の問題について理解し、その解決に向けた国際協力の役割を考えます。そして国際社会での国際協力の現状や課題を踏まえて、今後の日本の協力のあり方や方向性について自らの意見を提案できるようになることを目標としています。
 全15回実施の講義には、実際に発展途上国出身者と英語で議論を行うアクティブラーニングが組み込まれています。今回、ルワンダ、エチオピア、インドネシア、東ティモール、ミャンマー、バングラデシュ、アフガニスタンの8ヶ国から日本の大学で修士号・博士号を取るために学んでいる計8名の研修員が参加し、約40名の学生と、参加研修員の国の状況や専門科目について課題を検討したうえで臨みました。
 小グループに分かれて、各研修員が講師となり自国の問題点についてプレゼンテーションを行い、課題解決のため何が必要なのかをみんなで議論します。
 参加研修員は母国では大学教師や公務員として活躍しています。日本では授業は先生の話を聞くことから始まりますが、彼らの国では、互いに議論することから始まります。声を大にして他人と議論することに慣れていない日本の学生は、彼らのプレゼンテーションの進め方、話術は新鮮で驚きだったようです。

アフガニスタンの農業問題を解決するために

アフガニスタンの問題点を熱心に伝えるグラブさん(アフガニスタン)

 「未来への架け橋・中核人材育成(PEACE)プロジェクト」で、アフガニスタンから来日中のグラブさんは、2013年に東京農大で修士号を取った後、この春博士号を取るために再来日しました。乾燥地であるアフガニスタンでトマトの栽培について研究しています。
 「アフガニスタンでは、収穫後の損失割合が高く、収穫量の25%〜40%に及ぶこともある。この割合を下げることが、自身の使命であると考えており、そのために収穫物の保存・保管状態を良質に保つための方策について研究をしている」と研修員が日本で取り組んでいる目的について述べると、普段は馴染みのないテーマにも関わらず、学生達も興味を示し、多くの質問が寄せられ、活発な意見交換の場となりました。

ルワンダにおける社会問題とは

 東洋大学国際地域学研究科のルワンダから来日中のハッピーさんは、ルワンダテレコムに勤務。都市と農村のデジタル格差を解消する鍵となりうる携帯電話技術の可能性について語りました。
 終盤では話題がルワンダ社会全体に及び、1993年大量虐殺(ジェノサイド)後の和解プロセスについて質問が続きました。
 「コミュニティ単位で開く民間法廷(ガチャチャ)はどんな内容か?被害者は加害者を赦すことができているのか?」「児童教育ではジェノサイドはどう教えられているのか?」「和解と統合を持続的なものにするためにどのような取り組みがなされているのか?」 
 どうやって人々が歩み寄ったか、不幸な過去を繰り返さないためにどのような取り組みをしているのか、ハッピーさんは自分のガチャチャ傍聴経験などを交えながら、ひとつひとつ丁寧に答えていました。

ハッピーさん(ルワンダ)と学生

 
 研修員にとっても日本の学生と話す機会は貴重です。将来、国際社会/国際協力の現場で活躍することが期待される学生達に、自国のことを「もっと知ってもらいたい」という気持ちから、プレゼンにも力が入っていました。
 アクティブラーニングに参加した学生にとっては、開発途上国の現状に即した話を直接聞くことができ、国際協力についての理解を深める良い機会となりました。