世界に広めよう日本の笑い「落語」【NGO連携】

2010年3月18日

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英語落語演者たちが舞台上に勢ぞろい。真ん中が師匠の鹿鳴家英楽さん。

「落語」と言えば皆さんは何を想像しますか?舞台の上で着物を着た人が座布団の上に座って、扇子や手ぬぐいを使っておもしろい話をする。でも、普通の演劇とは違って、舞台の上を走り回ったり大きな動きはありませんよね?日本の伝統演芸ですが、日本語がわからず、日本の歴史や伝統文化の知識のない外国人に落語のよさを伝えるのは至難の技では・・・。そう思ったあなた!心配無用です!日本の笑いを世界に広げようと英語で落語公演を行っている方々がいらっしゃるのです!

春の足音が聞こえ始めた2月、JICA東京では研修員に日本の笑いを広めようと「英語落語」公演を主催しました。今回ご協力いただいたのはキャナリー英語落語教室の鹿鳴家 英楽(かなりや えいらく)先生とその生徒さん3名。実際にお会いしてお話してみると、英楽先生は長年JICA研修を担当していた元コーディネーターさんでした。そして、3人の生徒さんのうち1人はなんとJICA職員。こんな偶然があるなんて、世間は狭い!

こうして役者は揃いましたが、果たして研修員に日本の笑いは理解してもらえるのでしょうか?ドキドキしながら迎えた当日、不安とは裏腹に100名程の研修員が集まってくれました。「日本語がわからないから行かない。」と言っていた研修員も「英語でやるのよ。」との説明に興味が湧いたようです。まずまずの滑り出し。

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お菊さんを演じる鹿鳴家七味さん。見物の研修員からは幽霊そっくりとの声も。

初めに、英楽先生の簡単落語解説があり、扇子や手ぬぐいの使い方を教えてくれました。それから、落語の最中「ハロー」と語りかけることもあるけれど、決して返事はしないようにとの落語鑑賞におけるマナーもご説明いただきました。そして、いよいよ落語の始まりです。演目は、仕事に就いても長続きしない怠け者が毛皮を着てトラを演ずる「動物園」、けちな親父が遺産をどの息子に残すかを決める「片棒」と、JICA本部所在地が舞台の「番町皿屋敷」をネタにした「お菊の皿」の三題。英語が母国語でない研修員にもなるべくわかりやすいよう、比較的動きのある演題を選んでくださいました。「動物園」では怠け者のクリントンが出てきたり、そのボスがバラク・オバマだったりと、研修員も知ってる有名人の名前でまず笑いが起こります。そして、終盤のトラの歩き方を披露するところでは、両腕、肩、頭の動きだけなのに本当にトラが歩いてるみたい!会場中が笑いに包まれました。

研修員がすっかり落語に魅了された頃、舞台では有名なお菊の幽霊の話に。演者が「私幽霊に見える?」と幽霊の真似をします。すると、最前列で見ていた研修員がボソッと「Almost…(ほとんどね。)」と呟いてしまいます。それを聞いた回りの人たちがクスクス笑い出し、その小さな笑いが落語が進むにつれて大きな笑いになっていく。会場は皆の笑い声で幸せの空間へと変わっていきました。

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寄席の終演後、鹿鳴家一門と並んで代わる代わる記念写真に納まる研修員たち。

落語三題の後は、英楽先生のウクレレに合わせて、童謡「赤とんぼ」や石嶺聡子さんの「花」を皆で歌いました。初めて聞く「赤とんぼ」は難しいようでしたが、何ヶ国語かに訳され歌われている「花」はさすがに知っている人も多かったようで、サビのところでは手拍子や足を踏み鳴らしてリズムに乗っている研修員の姿もありました。

エチオピアのMr. Mekonenからは「1人で何役もこなす落語家の演技に感心した。また機会があれば是非観たい!」というコメントをもらいました。また、バングラデシュのMr. Asherは「言葉では言い表せないくらい楽しかった!」となかなか好評でした。笑いは国境を越えるんですね!日本の笑いが世界にまた少し広がったひと時でした。

JICE 東京業務室 西垣 友美