ミツバチ大好き!!【草の根技術協力】

2016年6月1日

草の根技術協力事業を通してモンゴルに普及しつつある“ヤポン・アルガ(日本方式)”をご紹介します!

モンゴルは、日本の約4倍の面積に300万人ほどが住む国。人口が首都に集中していることもあり、地方の人口密度はきわめて低く、そのため、コールドチェーンなどのインフラも地方では不足しがちです。
そのような中、蜂蜜を中心とした養蜂産業であれば、地方の所得向上に貢献できるとして、公益社団法人国際農林業協働協会(JAICAF)は、2015年4月より、モンゴル北部のセレンゲ県にて、草の根技術協力事業「養蜂振興による所得向上プロジェクト」を実施しています。
ワンシーズンを経て、飼育技術が目に見えて向上し始め、蜂蜜の品質管理に向けた取り組みも始まりました。2016年3月の熱気あふれる現地の様子をご報告します。

古参養蜂家の態度が変わった!?

大草原の中での飼育指導。

「モンゴル大草原の蜂蜜」と聞くと、素敵だと思いませんか?広大な草原にミツバチが飛び交い、花々の受粉を助け、多様な植物を保全しながら、私たちにも蜂蜜をもたらしてくれる。
 そんな素敵な蜂蜜ですが、モンゴルでは、蜂群当たりの蜂蜜生産量が少なく、飼育技術の低さがネックの一つです。
 プロジェクトでは、これまで、春、夏、秋と養蜂専門家が現地に入り、蜂場でミツバチの状態を見ながら実地指導を繰り返したり、セミナー等で講義したりと技術指導に努めてきました。養蜂専門家は現地で大の人気者で、われわれが現地に行くとたくさんの養蜂家が寄ってきて「先生は来てる?」と嬉しそうに聞きます。でも一方で、教える技術について、特に古参の養蜂家から「日本は暖かいからできるんだ」という声もありました。
 しかし、この3月に越冬直後のミツバチの様子を見に行くと、一番頑固だった女性養蜂家の態度が一変! 専門家が指導を始めると、大きな声でグループメンバーに「先生の話が始まるよ!早くこっちへ来て、先生の言うことをよく聞くんだよ!」と叫んでいるではありませんか。ミツバチの病気が目に見えて少なくなり、採蜜量が確実に増えてきています。何よりも、それをベテラン養蜂家が実感しているということでしょう。

品質管理にも着手

蜂蜜の生産工程管理のチェック体制について、熱心に議論する郡の獣医たち。

また、プロジェクトでは、安全で衛生的な蜂蜜を生産するため、養蜂家や獣医と相談して、生産のルールを決めました。薬の使用、蜂蜜の採集や巣箱の清掃など、守るべきルールとその記録方法を定め、“チェックリスト”と呼ぶノートに記録していくことになりました。蜂蜜を販売するときには、郡や村の獣医がノートをチェックし、ルールを守っている蜂蜜には、認証シールを貼ることとしており、この夏に、シールの貼られた蜂蜜第1号ができる予定です。
 さらに、チェックリストを利用して、獣医がミツバチの病気の発生状況をまとめ、県や国に情報を提供していこうという活動も始まりました。

基盤はみんなのアイデアと協力

セミナーに集まった養蜂家たち(2015年8月)。

最初は日本側の指導から始まったプロジェクトですが、どのような課題をどう解決すべきか、品質管理の仕組みをどうするか、技術をどのように全国に広めるか、など、モンゴル側のプロジェクト関係者が様々なアイデアを出し、チームを組んで事業を行っています。

今は、モンゴル養蜂の黎明期といえるでしょう。いつか振り返ったとき、「歴史の1ページだった」と思うのではないかと感じる瞬間がいくつもあります。
現場の養蜂家や獣医から中央の研究所や養蜂協会の事務局長まで、白熱した議論はしょっちゅう。怖いほど真剣に養蜂専門家の話を聞き、土日だというのにセミナーに150人も参加し、大勢が質問に来ます。モンゴルの養蜂をこれから自分たちが発展させていく、という自負と情熱がプロジェクトを加速させています。


プロジェクトマネジャー 西山亜希代(公益社団法人国際農林業協働協会)