埼玉県下水道局でタイ下水道公社の職員5名が、研修を受講しました。(草の根技術協力事業 地域活性化特別枠)

7月24日(月)から8月4日(金)まで2週間にわたり、埼玉県下水道局の施設で研修を行いました。この研修は、草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)「官民一体となったタイ王国への下水道技術の支援事業」の一貫として行われ、研修員たちは今後講師として下水道の技術、メンテナンス、水質管理等を教授するとともに、地域への下水道普及活動が期待されています。

2017年8月16日

事業の背景と概要

【画像】 タイではバンコック首都圏を中心とする急激な人口増加により水質汚染が深刻化したため、下水処理場を整備してきました。その一方で技術不足から適切な維持管理機能が失われている処理場が散見されています。タイ下水道公社では下水道研修センターを設置し、研修講師の人材育成を行い、下水道の普及促進と処理場の維持管理技術をタイ全土へ普及させることを目指しています。今回研修員として受け入れた5名は、タイ帰国後は講師として「下水道維持管理の技術」「処理場の運営管理方法」「水質検査」等の研修を行うこととなります。
また、「研修センターの運営」や下水道普及促進の一環として「普及啓発研修」や「下水道の広報手法」等を学び、下水道計画から整備、管理運営までの総合的な下水道事業の構築を目指しています。

埼玉県荒川水循環センターでの運転管理の講義、視察および水質検査の実習

【画像】 8月1日(金)荒川水循環センターにおいて、運転管理、水質管理の実習を行いました。
点検作業では、「タイでも点検リストがあるが、日本のように細かくはしていない。
点検頻度を高めることで、日報、月報、年報のデータを蓄積していることをタイでも活かしたい」とコメントがありました。

【画像】 本研修は、荒川水循環センターの他、新河岸川水循環センター、埼玉県立久喜図書館、さいたま新都心浄化プラント、G&U技術研究センター(マンホール)、日本下水道事業団において講義、実習を行いました。

【画像】 当日はタイ下水道公社本部と同センターを、Web会議システムで繋ぎ、研修員自ら、研修中の実習をライブで報告していました。

【画像】水質測定機器で、研修員が実習を行いました。

研修成果を報告会で発表しました。

荒川水循環センターで、研修でお世話になった方と記念撮影。

8月4日(金)、研修最終日に本研修の成果を報告会で発表しました。

【研修員から】
「タイでは下水道法はないので、汚染した者が汚染に対して責任をとることになっていますが、具体的には記載がされていません。日本で学んだ法律や省庁の役割を話していきたい。」
「下水道の普及啓発には国民からの理解が必須ですが、日本では子どものころから、下水道について啓発しています。図書館で目で見る実験や、馴染みやすいようにキャラクター等を活用しており、これらの普及活動は持ち帰りたいと思っています。」
「テクノロジーについて学びたいと思っていました。タイと日本では大分違っていることに気が付きました。日本では、安全第一で考えられており、安全が確保されたうえでの下水道の研修を、タイでも広めていきたい。」
「水質検査の方法は、タイと似ているが日本のほうが進んでいます。下水処理の方法など、様々なことを学んだので、タイ下水道公社に合った方法を応用して取り入れたり、紹介していきたい。」「データの記録については、頻度を上げることはできるので、日報、月報、年報とデータの蓄積をし、精度を上げていきたい。」
「再生水プラントでは、オゾンで殺菌し再生した水をトイレのフラッシュ用水に利用しているのを視察しました。これは是非タイでも活用したいと考えています。」等の報告がありました。

研修成果を報告後、JICA東京から修了証書が授与されました。

【埼玉県下水道局から】
「研修員の方は、日本のテクノロジーを学びに来たということですが、テクノロジーが最初からあった訳ではなく、安全第一を考えて、今になっているのです。」
「また、県内や東京の観光地にも行かれましたが、『日本の観光地がにぎわっている』『日本の観光地は清潔』ということは下水道が管理されているからです。臭い、汚いでは観光は成り立ちません。」「2020年までに埼玉・東京の下水道レベルを上げるよう努力しています。オリンピック、パラリンピックでは川や海で行う競技(カヌー、トライアスロン等)があるので、選手が気持ちよく競技できるよう埼玉県の下水道レベルを上げていきます。」等のコメントがあり、「タイでも観光地が沢山あるので、お互い切磋琢磨して下水道レベルを上げていきましょう。下水道は観光には欠かせないものです。」と締めくくられました。

研修員5名は、それぞれの専門分野からの研修成果を発表し、今後のタイの下水道技術、管理はもとより、下水道の整備のための普及啓発を目指します。
数か月後には、埼玉県下水道局の職員がタイ下水道公社に派遣し、現地での技術指導や研修員たちの講義について指導する計画となっています。



TIC 市民参加協力グループ 高橋・後藤