教師海外研修ザンビアコース報告【開発教育支援事業】

2017年度教師海外研修に参加した13名の先生がザンビアで国際協力の現場を視察してきました。研修の様子を紹介します。

2017年9月6日

【モノカルチャー経済と開発の狭間で】

首都ルサカのショッピングモール
綺麗で立派な建物でした

ザンビア共和国はアフリカ南部に位置し、70近くの民族からなる多民族国家です。1964年東京五輪の最中、イギリス連邦から独立しました。
そのザンビアと聞いて何が思い浮かびますか?観光好きな方ならヴィクトリアの滝、経済に詳しい方なら銅鉱業が出てくるでしょうか。
独立以降、経済成長を図って来た同国ですが、銅を中心とするモノカルチャー経済は鉱物資源の国際価格に支配され、天水に依存した発電と農業は干ばつの影響を大きく受けるため、脆弱な経済構造であり、最貧国の一つとして数えられています。
内政は安定しており、近年首都ルサカは外国資本と人口の流入により都市化が進み、通勤時間帯には慢性的な渋滞が散見されるようになりました。その一方で貧富や教育の差が拡大し始め、別の問題を生み出してもいます。

【ザンビアの明るい光と暗い闇】

ナショナルサイエンスセンター長のバンダ氏
後ろに見えるのは日本の支援で建設中の校舎

研修序盤は主に首都ルサカで実施されました。
教員の研修施設でもあるナショナルサイエンスセンターでは、日本との協力で施設建設、教材研究が行われて来ました。センター長のバンダ氏は研修で来日した経験を活かして、同国の教育の発展に尽力しています。
同センターがモデル校として推す初等学校ではアクティブラーニングを採り入れた授業風景を見学し、参加教員一同そのレベルの高さに感嘆していました。
ナショナルサイエンスセンターの取組、その波及からはザンビアの教育の明るい未来が見えて来るようでした。

ナショナルサイエンスセンターがモデル校に推す学校の生徒

しかし研修中盤に訪れた地方・村落部では都市部との差異も目の当たりにしました。
青年海外協力隊員が活動している初等学校では、生徒数に対して教員数が圧倒的に不足しており、二部制を採ってやり繰りしているものの、施設、教材、文房具、あらゆる物が足りていない状況でした。勉強に追いつけない、家計を助ける、妊娠などの理由で学校から離れる生徒の数も、ザンビアの教育に暗い影を落とす問題の一つです。

地方の初等学校にて。1つの机になんとか3人が座っています。

教員同士での意見交換では、「教育は国の発展のために必要です。それに携わっている事を誇りに思います」「子どもが勉強から離れるのは教員の責任である」というザンビア教員の熱意に、日本の教員たちは感銘を受けました。
困難な状況ながら、誇りと工夫を持って教育に取り組む姿勢に、教員としての本質を見つめ直しているようでした。

【ザンビアでの学びを日本へ】

ザンビア大学では感染症研究を行っています。

本研修では他にも、北海道大学と共同研究等を行っているザンビア大学、地域のプライマリーケアを担うヘルスセンター、宮城県丸森町が事業に取り組んでいるカフエ郡の農村、日本のカイゼン、5Sが活かされているペプシ工場などの国際協力の現場を訪れました。また、ザンビアに展開している日本企業では最大手の日立建機を訪問し、ビジネスを通じた国際協力の在り方も学びました。

ルサカ郊外のヘルスセンターにて。
ザンビアの保健医療事情も学びました。

行く先々で教員たちは熱心に写真を撮り、関係者へ質問をし、日本で待つ児童生徒たちのために積極的に情報を吸収していました。
「ザンビアに来て、国際協力は相互協力なのだと気が付いた」
「統計や数字上は日本の方が豊かだろうが、統計には現れないザンビアの豊かさがある」
「ザンビアの問題は実は日本にも存在している」
など、たくさんの気付きを得た研修となりました。

在ザンビア日本大使館にて側島大使(左3人目)と。

教員たちはこの成果をもとに2学期から授業実践を行っていきます。
「ザンビアの事を“こう思っていたけど、実はこうだった。それはなんで?”を子ども達と考えていきたい」と、どんな授業を見せてくれるのか楽しみなコメントも頂きました。授業実践の様子も、こちらのページで随時更新するのでお楽しみに。

期間:2017年8月6日(日)から8月16日(水)
タイトル:2017年度 教師海外研修 ザンビアコース
訪問国:ザンビア
人数:教員13名、JICA同行者3名





報告者 JICA埼玉デスク 廣瀬