新島村立式根島中学校 難民問題を自分事として考える授業実践!

「授業で使える10分映像集」を活用した地域コミュニティの問題解決を目指す社会科授業の開発 いわきニュータウンにおける住民対立と難民問題を事例にして

2017年11月8日

授業風景

新島村立式根島中学校の高田裕行教諭は、JICAの作成した「授業で使える10分映像集」を活用し、難民問題をとおした「地域コミュニティの問題解決を目指す社会科授業」を実践しました。

高田教諭は、2016年度に教師海外研修(タイ王国コース)に参加し、さらに今年度は、「開発教育指導者研修」において、国際理解教育/開発教育の見識を深めてきました。今回の授業実践は、その成果発表の場とも言えるものです。

JICA映像教材

「難民発生の背後にある社会的リスクや社会構造、難民となった当事者の思いや立場を理解し、さらに難民を受け入れることで派生するメリット、デメリットについて様々な視点から考え、自分の意見を発表できる。」ことを単元目標に設定し、全7時間での授業展開でした。JICA作成の映像教材を効果的に活用し、また、難民を助ける会(AAR Japan)職員による出前講座を織り込むなとして、難民の定義から、現実の世界で発生している難民問題について、しっかりと基礎知識の学習が行われました。

特筆すべきことは、遠い国の出来事と捉えられがちの難民問題を、身近な問題であると生徒に意識させる工夫がいたるところにちりばめられていたことです。例えば、第1回目の授業では、東日本大震災発生で「いわきニュータウン地区」に避難した人々と旧住民との対立について取り上げ、自分の意思と反して強制的に移動を強いられた人々の苦労と、約2万人の人口が流入した地域の住民の困惑について学び、難民問題は他人事ではないことを意識させました。

授業中に活用される資料

また、第3,4回目の授業では、難民発生から避難までのシミュレーションを実施し、模擬的に難民を体験することで難民の境遇、苦難を理解するよう指導しました。この授業では、生徒の保護者を教室に迎え、家族で難民キャンプについて理解するという画期的な取組をしました。

第5時間目には、今度は受入側の立場について学習しました。「新島村で大規模な災害があり、新島住民約3,000人が式根島への強制移動が命じられた。」という生徒にとって身近なシナリオを設定し、それを受容れるという立場でメリット、デメリットを生徒に考えさせました。「サッカーの試合ができるようになる、町に活気が生まれる。」などのメリットを挙げる一方、「住むところでもめる、交通事故が増える。」といったデメリットも中学生なりに真剣に考え、活発な議論がなされました。

世界に思いを馳せる

最終的には、11月11日に実施される島の保育園、小中学校合同学芸会において募金活動を行い、認定NPO「難民支援協会」を通じて、日本に逃れてきている難民の支援をするという行動に繋げていく予定です。
高田教諭は、「生徒には若いうちに、異なる背景を持つ人々と共に暮らす上でのメリット、デメリットを自分のこととして考えて欲しかった。」と話していました。

高田教諭

今回の授業実践をとおして、島の子どもたちは海を越えた遠い世界の出来事に思いを馳せ、身近な問題と捉えることができました。教材や外部講師を効果的に利用し、コミュニティーをも巻き込んだ行動にまでつなげていった、教師と学校の素晴らしい取り組みに、確実な教育効果を実感できました。





報告者:市民参加協力第一課 鈴木啓修