〈人間開発/障害者支援〉日本とアフリカの交流を通して相互に学ぶ

2018年7月12日

JICAで実施している課題別研修「アフリカ地域障害者のエンパワメントを通じた自立生活促進」(7月2日から7月25日)において去る2018年7月7日に特定非営利活動法人DPI日本会議と共催で公開セミナーを開催しました。
エジプト、レソト、モザンビーク、南アフリカ、スーダン、タンザニア、ジンバブエから7名の障害を持つ研修員がそれぞれの国の状況と自分自身が抱えている障害があるが故の生活上の困難やこれまでの生い立ちについて60名を超える一般の参加者に向けて発表を行いました。

ここでは第1部の南アフリカ共和国ナタン(Mr. TSHABALALA Nathan)さんの発表をご紹介します。

南アフリカの状況を発表するナタンさん(右)

【研修授業と草の根プロジェクトの連携から学ぶ】
ナタンさんは草の根技術協力プロジェクト「障害者地域自立生活センター設立に向けた人材育成(フェーズⅠ、2013年4月~2016年4月)」及び、「アクセシブルなまちづくりを通した障害者自立生活センターの能力構築(フェーズⅡ、2016年9月~2019年8月予定)」のカウンターパートであり、南アフリカのハウテン州にあるソエト自立生活センターの所長です。自らも脊椎損傷の障害を持ち、車椅子で生活しています。
26歳の誕生日に交通事故にあい脊椎損傷の障害を負ったナタンさん。家に引きこもり家族に頼るだけの生活を続けていましたが、そんな彼を救ったのはソエト自立生活センターの前身である障害者団体であり、本課題別研修の帰国研修員たちでした。
南アフリカ、特にハウテン州では2013年より障害があっても家族に依存することなく、自らの決定と意志で好きな時にどこへでも行き、入浴やトイレ
などの日常生活も含め全て自己の決定で行えるよう、障害を持つ人たちの自立生活を推進してきました。
そしてこの概念は2002年から行われている本課題別研修によって南アフリカへと波及したものです。

研修員の発表に60名を超える参加者が熱心に耳を傾けました

【南アフリカでの活動の成果】
「2013年から開始されたプロジェクトでの一番大きな成果は介助者の派遣です」とナタンさん。「以前は障害があるからと外出や入浴、トイレなどの介助に家族の手を借りなければなりませんでした。でも介助者の制度が導入されてから家族の負担も軽減し、私たちは好きな時に外出し、お風呂に入れるようになりました。そして2016年にこのプロジェクトが終了した後も介助者の予算はハウテン州政府から支援を受けられるようになりました。」と成果を語ってくれました。
ソエト自立生活センターでは介助者の人材育成や障害当事者本人のニーズの聞き取り、同じ種類の障害を持つ当事者同士がお互いの問題を相談しあえるピアカウンセリングなどの活動も行っています。
現在ではプロジェクトも第Ⅱフェーズに移行し、障害を持つ人たちの住宅の整備(お風呂やトイレなどへのアクセス)や町の交通アクセスの改善へと拡大しています。

ナタンさんが日本での学びを深めセンターの所長として活躍してくれることを願っています。

報告者 人間開発・計画調整課 2018年7月