研修監理員に聞く-研修を支える人達-

2018年11月21日

【画像】課題別研修:障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化
研修期間:2018年10月10日から11月17日
参加国:エジプト、エスワティニ、モンゴル、モザンビーク、ミャンマー、パキスタン、スリランカ、タジキスタン
参加人数:8名

研修を成功させるにはいろいろな人たちの協力が不可欠である。研修員に日々寄り添い最も近い存在である研修監理員の役割は最も大きいだろう。
研修監理員は、日本語で行われる講義の通訳や研修旅行への引率、研修員への日本での日常生活のアドバイスをするなど、その業務は多岐に渡る。


課題別研修 「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」を担当している二人の監理員に話を聞いた。

研修員にとって姉のような存在である小杉弘子さんと中村由希さん。
参加者全員が視覚や身体に障害を抱えているこの研修で、監理員としてどのような工夫をしているのだろうか?

常に楽しくチームワークを大切にする姿勢

細心の注意を払いながら講義を通訳

講義に対しての研修員への丁寧な補足

小杉さんが監理員としてこの仕事に就いたのは1996年。ご家族の事情でアメリカに住んでいたこともあり、何か語学を活かせる仕事を探していたのがきっかけだという。当時二人のお子さんが小さかったこともあり、国際協力や開発に興味はあったが海外では働けないという事情から広島にあるJICA中国センターで仕事を始めた。
一方、もともとは旅行会社に勤務していたことからコーディネートを中心とした仕事に興味があったという中村さん。当時勤めていた職場がJICAの研修委託先であったことから研修監理員という仕事の存在を知り、99年から業務を始めた。
そんな二人がたまたま障害者支援のコースに配置された。
車椅子の押し方や視覚障害の研修員へのガイドの仕方、説明の仕方など何もかもが初めてだったと小杉さん。障害があるということは何もかもが当たり前に生活できるという状態とは全く違う。でもそこから研修員達は何かを変えようとしている。そんな姿に動かされ「この人たちのサポーターをしよう」と徐々に気持ちが変化したという。
一方ご家族に車椅子ユーザーがいらっしゃる中村さんにとっては当事者の存在は当たり前のものであり、「なぜJICAの中で障害を持った人たちがこんなにも特別視されているのだろう?」と疑問を抱いたという。
そんな二人が研修中最も大事にしているのは「チームワーク」そして「常に楽しく」ということだ。
十分にアクセスが保証されていない状況があったり、英語での手話が通じない聴覚障害の研修員が来たり等これまで様々な場面に直面してきた。
その度に「どうしたらこの状況を乗り切れるだろう」、「せっかく日本に研修に来たのだから楽しく意義のあるものにしてほしい」と考えて行動してきた。
JICA担当者や委託先、研修員とともに一つのチームとして問題を解決してきた。手話がわからなければその場で英語での筆談を始めたり、入口が狭く車椅子でトイレやお風呂に入れなければホテルの扉を外して対応したりと様々な経験を語ってくれた。
「障害があるって特別なことと思われてしまうけれど、その障壁を作っているのは社会であり、人間なのです」と二人は言う。

アンテナを張って今後の夢を語る

視察先で研修員と周辺地域の住みやすさなどの状況を確認

「こんな風にサポーターとして活動できているのは研修員からパワーをもらっているからなのです」と小杉さん。研修員が日本での研修中、どんどん自信をつけ、日本の制度やアクセシビリティーを楽しみながら、自国に対する思いを語ってくれる。
そのパワーに触発されているのだという。「研修員からたくさんのエネルギーをもらって自分も何かしたくなったんです」と。現在はコーディネーター業をしながら知的障害関連の社団法人の副代表を務め、さらに大学で社会福祉の勉強をしている。まさに三足の草鞋だ。
中村さんも途上国の現場に目覚め、「アジアの障害者活動を支援する会」の事務局代表としてラオスで活動を続けており、常に現場のニーズを大切にしている。

お二人の今後の活躍に期待するとともに、障害があることが特別なことではなく、誰もが全てのJICA研修に参加できる時代が来ることを願っている。


報告者 人間開発・計画調整課