バングラデシュ農村の学校給食、継続の鍵はお母さんたちの力【草の根技術協力】

2018年12月21日

大豆入りケチュリ(おじや)は栄養満点

2017年11月からバングラデシュで、草の根技術協力事業(支援型)「地域住民参画による持続可能な学校給食モデルの確立」(実施法人:NPO法人日本・バングラデシュ文化交流会(JBCEA))がスタートしています。プロジェクト・マネージャーの日本・バングラデシュ文化交流会理事長松本智子氏から、プロジェクトの進捗状況を報告いただきました。

本プロジェクト実施の背景・問題意識

電気ガス水道がなくても衛生的に調理

学校給食制度のないバングラデシュでは、農村部の子どもたちに栄養不足による成長不良が多く、当会では子供たちの栄養改善を目的に2010年から複数の公立小学校で学校給食に取り組んできました。2015年からは本事業の対象地域で、持続可能な学校給食のモデルを作ることを目指し住民を巻き込んだ活動を行っています。
草の根技術協力事業開始後は、学校給食の運営組織育成に力を入れています。現在、保護者と地域住民の協力により、地元産大豆と野菜、保護者が提供したお米で、栄養バランスがよく衛生的に調理された温かい給食を、子どもたちは週5日食べられるようになっています。

給食実施を担うのは「学校給食実行委員会」

校庭で学校給食実行委員会のミーティング

学校給食の運営は、保護者、校長、副校長、地元有力者と学校給食に熱心な母親を加えた合計21名からなる「学校給食実行委員会」が行っています。メンバーは学校給食実施に必要な7つの係(米集め、寄付集め、食材購入、学校 菜園、調理手伝いと衛生管理、会計、会議記録)に分かれ、活動しています。
活動開始当初、実行委員会の定例会議は、時間通りに集まらない、様々な理由での延期、参加者が少ないなど、定期的実施が困難な状況でした。しかし、継続的な啓発の結果、徐々に毎月の開催が定例化し、各係の活動報告や記録も整って、課題を共有しながら自立に向けて話し合いや活動ができるようになってきました。

「母親グループ」のパワーを活かして

早朝から集まって調理を手伝う母親たち

母親グループの協力で始まったスペシャル給食。
特別なメニューに子どもたちは大喜び。

2018年5月、学校給食実行委員会に参加しにくい児童の母親たちのために、対象地域内の2地区に「母親グループ」を作り、活動を始めました。「母親グループ」に、野菜の種子やナス・パパイヤ等の苗を配り、自宅の家庭菜園で栽培し給食用に寄付してもらう活動は、給食経費削減に貢献しています。
現在、「母親グループ」の数は学校の近くの2地区から4地区に増加しました。また、リーダーと副リーダーを決め組織体制も整ったことで、給食実行委員会や学校からの連絡が行くようになり、母親たちの意見を学校給食に反映できるようになっています。
 最近、この「母親グループ」から「スペシャル給食の日を作りたい」というアイディアが出て、児童が1個ずつ卵を持ち寄り、また母親たちも調理協力をして「卵カレーと大豆入りダル」のスペシャル給食が実現しました。特別なメニューに子どもたちは大喜び。その姿を見て、母親たちのモチベーションは更に上がり、次のスペシャル給食を計画しています。
イスラム教徒が大半を占める地域で、外に出る機会が制限されがちな母親たちに母親同士のネットワークづくりを働きかけ、学校給食イベントや学校給食実行委員会への参加を呼びかけていくことは、女性のエンパワメントにも繋がります。
母親たちのパワーを最大限に活用しながら、地域の住民たちと共に、子どもたちの成長にとって何が必要か考え、実践し、本プロジェクト終了後も住民の力で学校給食を継続できるよう、引き続き支援していきます。