インターンが見た!教師海外研修実践授業

私たち、インターンの小口、長田は11月13日に、教師海外研修OBの吉田大祐先生(2018年参加者・埼玉県立鳩ケ谷高等学校 世界史)の実践授業を見学しました。「インターンが見た!」シリーズ待望の第4弾です!

2020年11月30日

吉田先生は、パレスチナ問題についてイスラエル・パレスチナの双方の立場から考える授業を行ってきました。私たちは今回、パレスチナと教室をZoomでつないで交流をするという3年生の授業を見学しました。日本の若者とパレスチナの人々が交流をするという、非常に珍しく貴重な機会を見学させていただくことができたので、その報告をしたいと思います。

ナサールさんとカリームくん

パレスチナからは、JICAパレスチナ事務所ガザ出張所の現地スタッフ(ナサールさん)とその息子さん(カリームくん15歳)、そしてラマッラオフィスから坂元次長が参加しました。坂元次長は、現地スタッフと生徒たちの話す内容を通訳し、互いの懸け橋になってくださいました。

通訳をするパレスチナ事務所の坂元次長

交流を通して互いの文化の共通点や平和を目指す想いを知ることで、紛争のイメージが強く「異国」に感じてしまいがちなパレスチナの魅力を知り、パレスチナのイメージが変わる機会となりました。

のぞき見!吉田先生の実践授業~パレスチナとの交流~

発表をする生徒

授業の最初には、日本とパレスチナの生活について「自分の国の良いところ・課題」「新型コロナウイルスの影響」「幸せを感じる瞬間」といったトピックに基づいて互いに共有しました。
ナサールさんとカリームくんのお話を通して、生徒のみなさんはパレスチナの政治的な緊張やガザでの生活の難しさについて知り、貧困率やインフラのレベル、医療環境など、ガザと日本が置かれている状況の大きな違いに驚いた様子でした。一方で、人々が親切であることや、自然が美しく宗教上神聖な場所であること、食べ物がおいしいことなど、パレスチナの魅力もたくさん知ることができました。また、幸せを感じる瞬間やコロナウイルスの影響といったトピックでは日本とパレスチナで共通しているところもあるということを知りました。

次に、生徒のみなさんから「日本のことをどう思うか」「イスラエルの人と交流したことがあるか」「イスラエルの人についてどう思っているか」といった質問が投げかけられました。センシティブな質問もありましたが、子どもたちの純粋な気持ちから生まれる質問だからこそ、率直で素直な議論ができたのだと思いました。
生徒のみなさんからの質問に対して、ナサールさんは、イスラエルの人とはほとんど交流をしたことがないということや、イスラエルの人々に対してはネガティブな印象を持っていないが政治的な問題やガザの占領によって、人々が安心して暮らす権利を奪われているということを教えてくれました。ナサールさんの「政治的な問題さえなければ昔のように仲良く共存できるし、お互いに理解し合い平和になることを強く願っている」という言葉がとても印象的でした。

最後に、生徒、ガザに住むカリームくん、坂元次長がそれぞれ書いた詩を共有しました。互いの詩を聞くことで、お互いの考えや感情を深く知ることができ、とても特別な時間になりました。また、アラビア語と日本語の詩の響きは非常に美しく、聞いていて非常に心に響き、感動しました。
今回の交流は、生徒の皆さんにとって、パレスチナに対する親近感や共感を抱いたり世界の平和に関心を抱いたりする大きなきっかけとなるような、非常に大切な時間であったと思います。

吉田先生の授業を見学して

物理的にも心理的にも遠くにある国の課題を解決したり一緒に平和を築いたりしようとする想いを持つことは簡単ではないと思います。しかし、今回の授業のような、実際に現地の人と交流し、人々の想いや生活に共感する機会があることで、現地の課題が「他人ごと」ではなく「自分ごと」になるのではないかと感じました。それは、平和を目指す大きな第一歩になると思います。また、ネガティブなイメージばかりが目にはいりやすい途上国のたくさんの魅力も知ることも、非常に貴重で大切な経験であると感じました。
今回の吉田先生の授業を通して、改めて国際理解教育の意義の大きさを実感しました。

報告者:市民参加協力第一課 インターン 小口佳那子、長田のっこ