ITS(高度道路交通システム)って何?

ITS?なにやら聞きなれない言葉…。 実はわたしたちの、おそらく誰もが見たことがある、あるいは利用したことのあるものです。今回は、このITSがわたしたちの生活にどのように関わっているかを、簡単にご紹介します。

2020年12月9日

実は身近なITS

交通渋滞

 カーナビ、VICS(道路交通情報通信システム)、ETC、バスロケーションシステム(バスの運行情報)などの言葉を一度は耳にされた方も多いのではないでしょうか。このような安全な道路交通を実現するシステムはITSと呼ばれています。
 ITS(=Intelligence Transport System、高度道路交通システム)とは、「人」、「道路」、「車両」を最先端の情報通信技術を用いて繋ぐことにより、交通事故、渋滞などの問題を解決するだけでなく、安全かつ効率的な人・モノの移動を実現化させるシステムです。また、省エネや環境保全への貢献に寄与する他、新しい市場や産業を作り出す可能性を秘めていると言われています。

環境にやさしいITS

SDGs

 2018年度における日本のCO2(二酸化炭素)排出量のうち、運輸部門は全体の18.5%となっており、そのうち自動車全体では、運輸部門の86.2%を占めています。日本全体のCO2排出量の15.9%が自動車ということになります。

みなさんもご存じの通り、電気自動車や燃料電池車以外の自動車は走行に伴いCO2を排出します。CO2排出量は走行時間や走行距離の他、渋滞等の道路状況による急発進・急加速も大きく影響します。つまり、できるだけ一定の速度で走行し、かつ短い距離と時間で、目的地に到着することが望ましいのです。
 そこでITSによる円滑で安全な自動車交通が実現すれば、CO2排出量削減に大きな貢献ができるのです!

世界に広がるITS

2019年度研修員対象 ブラッシュアップセミナーの様子

 世界の開発途上国では、日本同様に交通渋滞をはじめとする課題に直面しており、それらを解決するために、ITSの導入が進んでいます。その課題に取組む人材育成の一環として、JICA東京では2013年から課題別研修「ITS(高度道路交通システム)実務」を毎年実施しています。
 2020年のコロナ禍は、運輸交通分野にも影響を及ぼしています。各国におけるITSプロジェクトの遅延、また、日本においては巣ごもり需要を受けた物流の増加等、その影響は様々です。今こそ各国が知恵を出し合い、課題へ立ち向かう必要があると考え、JICA東京は2019年度の研修に参加した研修員を対象にオンラインセミナーを開催いたしました。セミナーでは、各国からの参加者が、自国におけるITSプロジェクトの進捗、新型コロナの影響を発表しました。こうした情報共有は、参加者たちが自国の課題解決へのヒントを得る貴重な機会となりました。