関心が高まる宇宙活動に関するJICAの協力

はやぶさ2が採取した小惑星の砂が入ったカプセルが無事到着したというニュースに沸き、関心が一気に高まった宇宙分野。JICAも宇宙技術に関する協力を実施しています。その協力プログラムの一例とオンラインセミナーの開催を報告します。

2020年12月25日

関心が集まる宇宙活動

人工衛星

 2020年12月6日、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星の砂が入ったカプセルがオーストラリアの砂漠に無事着地したというニュース!コロナ禍での暗いニュースを吹き飛ばす一筋の光明でした。
 近年、先進国だけでなく新興国も宇宙技術の利用を活発化させており、世界全体の宇宙関連市場は拡大の一途を辿っています。
 日本政府としても、2008年5月に宇宙基本法を制定、2016年に閣議決定した宇宙基本計画を2020年6月に改訂*しています。改定基本計画では、宇宙分野でのさらなる民間企業活動の振興やSDGsへの貢献等も記載され、自立した宇宙利用大国を目指していくなど宇宙政策の強化が明言されています。
*改訂後の宇宙基本計画

宇宙技術の利活用に関するJICAの協力

 JICAでも2018年度から課題別研修「SDGsに資する宇宙技術の利活用政策」(注:2021年度研修名)を実施。開発協力分野において「宇宙技術」を取り扱うことは意外性を持って受け取られるかもしれません。
 しかし、「宇宙技術」とは、「衛星の製造・運用、情報通信における衛星の利用及び衛星画像利用等の衛星データ利用に係る技術」を指しており、環境問題や自然災害対策といった地球規模課題の解決に役立つとの期待が高い技術なんです。
 スマートフォンなどでお馴染みのGPS(全球測位システム)のように、宇宙技術だと意識しないまま日常的に利用されている技術もあります。今や、第4次産業革命を進展させる駆動力として、また、国際協力の手法を変える可能性のある道具としての期待が高まっています。
 これまで課題別研修では、内閣府やJAXA(宇宙航空研究開発機構)を含む関係機関を中心に国内外のパートナーシップを活かして、日本の宇宙技術の開発や利用について学べる内容を扱い、開発途上国における関連人材の育成を実施しました。
 今後さらに宇宙分野の核となる人材育成を進めるため、JJ-NeST(JICA-JAXA Network for Utilization of Space Technology)構想のもと、2021年度から日本の大学への留学生等を受け入れる予定です。

コロナ禍におけるオンラインセミナーを開催

オンラインセミナーの様子

 2020年度は来日型の研修実施は叶いませんでしたが、オンラインを使ったセミナーを開催しました。
 オンラインセミナーの内容は、日本の宇宙政策の最新動向から、「コロナウィルスの影響による経済活動」を宇宙データから分析した事例の紹介、宇宙技術の利用事例そして宇宙ビジネスまでと盛りだくさん。
 セミナーには過去の研修員だけでなく、2021年に来日予定の留学生候補者(JJ-NeST・留学プログラム)も参加。参加者から「日本とパートナーシップを更に強化したい」「コロナ禍における農業への衛星データをどう活用すべきか」「民間企業と宇宙分野でどう連携するか」など、様々な意見が投げかけられ、活発な意見交換の場となりました。
 宇宙分野についても、SDGs達成等課題解決の手段として、日本と途上国のプロフェショナル達が絆を深め、さらに相互の連携が進められるよう、JICAは今回のような場づくりを進めていきたいと考えています。ご支援いただいた皆様ありがとうございました。