世界の気象官とのネットワーク強化を目指して :課題別研修「気象業務能力向上

2021年1月26日

JICAの気象分野における協力

オンラインセミナーのフライヤー

JICAは気象庁の協力のもと、1973年以降の47年にわたって、気象官の人材育成を目的とした課題別研修を実施しています。これまでに22ヵ国から約200名の研修員を受け入れ、帰国研修員の中には、その後自国の気象局の幹部になった人も多くいます。
いまや地球温暖化等による気候変動は、一部の国に関わる課題ではなく、すべての国が直面する国際的な共通課題となっています。そのため、世界の気象業務の発展のためには、気象官の能力強化とあわせて、各国気象機関・気象官とのネットワーク強化が欠かせません。本課題別研修は、若手気象官の育成だけでなく、その後の帰国研修員とのネットワーク強化にも貢献しています。

帰国研修員向けのオンラインセミナーを実施

気象庁の新庁舎にて

今年度は、世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、新規の来日研修が中止となったため、過年度の帰国研修員向けオンラインセミナーを実施しました。コロナ禍において業務多忙な最中、6ヵ国から8名の帰国研修員がオンライン上に集まってくれ、遠隔とはいえ互いの顔が見えると、嬉しそうに再会を喜ぶ声が飛び交いました。帰国研修員たちは、帰国後の日本での学びの共有・実践状況や、コロナ禍での業務遂行上の課題等について、熱心に議論を繰り広げました。
本課題別研修において、このようなオンライン上でフォローアップを行うのは初めての試みであり、コロナ禍の副産物とも言えますが、遠隔でも貴重な情報交換・学び合いの機会を得ることができたのは大きな経験となりました。

コロナ禍における各国気象業務の共有

帰国研修員たちとの再会

各国帰国研修員の発表から、現地気象局ではマスクやフェイスシールド等の着用・アルコール手指消毒の徹底が行われているほか、毎週の事務所消毒や現業室への入室制限が行われていること等の様々な取組みが紹介されました。また、テレワーク推進を図るため、勤務シフトや人数体制の大幅な見直しも図るなど、そこには「どんな状況下にあっても現業を止めない!」という気象官としての強い使命感とプロ意識を感じました。
コロナ禍という困難な状況にあっても、私たちの日常を守るために、気象官をはじめ多くの分野の人々が日々尽力されていることをあらためて感じ、深い敬意を覚えます。一日でも早くコロナが終息し、また多くの研修員たちと対面で学び合える日が来ますように… JICAもコロナ禍においても協力の歩みを止めずに進んでいきます!