日本式教育を学ぼう!~特別活動とは~

我々にとって小学生が自分たちで給食を配膳したり、掃除をしたり、学級活動で様々な課題解決のための議論を行うことは当たり前ですが、「特別活動」(特活)と呼ばれるこれらの活動は、実は日本の教育の特徴でもあり海外では珍しい取り組みです。今次、埼玉県立総合教育センターの皆様からの全面協力の元、この日本式教育である特活について留学生に紹介し、自国の教育制度との違いについて学ぶことを目的としたプログラムを実施し、9か国11名のJICA留学生が参加しました。

2022年2月2日

講義:学校文化を創造する「TOKKATSU」とは?

 プログラム前半では、埼玉県立総合教育センターの添野担当課長より、日本の義務教育課程では教科の勉強に加えて、様々な集団活動を通して思考・判断・表現力、および主体性・協調性・社会性といった人間性を養う活動である「特別活動」(以下、特活)に関する概要について、写真や動画を交えてお話いただきました。参加した留学生からは、「特活における学校行事の具体的内容は子供たちによって決められるのか」、「特活は日本全国に普及しているのか」といった質問が寄せられ、行事の内容は子供たちが決めるというよりは各学校や先生によって決められる点、特活は日本全体で取り組んでいる点、加えて特活は世界からも高い評価を得ており、エジプトやヨルダンでの導入実績があり一定の効果を上げている点についても説明いただきました。

グループワーク:日本と各国の教育制度・事情の違いについて

ワークショップの様子

 プログラム後半では、埼玉県立総合教育センターの指導主事の先生方とJICA留学生がグループとなり、各国におけるカリキュラムや使用言語、掃除の仕方やクラブ活動の有無等、各国の教育事情について共有したうえで、日本との違いや共通点について話し合いました。公用語が複数ある国においては、地域によって使用言語が異なる点、日本にはない宗教教育がカリキュラムに含まれている点、追加費用を支払うことで追加のクラブ活動を受けられる制度といった各国ならではの事情について理解を深めることができました。

特活が養う能力とは? 

最後のまとめを真剣に聞く留学生

 最後プログラムのまとめとして、埼玉県立総合教育センターの松鷹指導主事より、他者との違いを認め、多様化する社会における協働の大切さについて触れられたうえで、特活で身に着ける能力・資質は、社会に出た後の様々な集団や人間関係の中で生かされていくことになることを改めてお伝えいただきました。参加した留学生からは、「教育には算数や外国語などの教科・領域等以外の要素も重要であり、日本では特活をカリキュラムに組み込むことで、チームビルディング力やリーダーシップ力を養成している点に刺激を受けた」といった声が寄せられました。
 今回のプログラムでは、留学生が日本の教育の特徴について体系的に理解する非常に貴重な機会となりました。ご協力くださいました埼玉県立総合教育センターの皆様、本当にありがとうございました!

報告者名 長期研修課