バングラデシュに到来するサイクロンシーズン。人々が安心して避難できるよう、壁画のメッセージを通して感染予防への働きかけが実施されています。
2021年5月14日
バングラデシュで実施されているサイクロンに強い地域づくりを支援する防災プロジェクトの取り組みとして、サイクロンシェルターに新型コロナウイルス感染予防を呼びかける壁画が制作されました。
壁画には以下のようなメッセージが書かれています。
「ヘルスルールを守ってコロナウイルスのリスクを減らしましょう」
1.家から外に出るときはマスクをしましょう
2.石鹸と水で20秒間、頻繁に手を洗いましょう
3.くしゃみをするときはティッシュペーパー、布、肘などで覆いましょう
4.少なくても3フィートのお互いの距離をあけましょう
5.使ったマスク、ティッシュペーパーや布は適切な場所に捨てましょう
「メッセージが分かりやすい」「イラストもあるので文字の読めない子どもたちも分かる」と地域住民の人々から壁画は好評です。また剥がれたり破れやすいポスターとは違い、長期間残る壁画はシェルターでの予防啓発活動として効果的だとの声もあがっていて、このメッセージを通じてより多くの人が感染対策に取り組むことが期待されます。
バングラデシュのモレルゴンジ郡やショロンコラ郡にあるサイクロンシェルターに描かれた壁画は計48ヶ所。3名の画家によって2021年3月に完成されました。他にも学校や行政関係の建物など多くの人が目にする場所にも壁画が制作されていて、ポスターやリーフレットも活用しながら、地域全体で感染予防対策の取り組みが進んでいます。
家屋の倒壊や洪水などの甚大な被害から住民を守るためのサイクロンシェルター。しかし避難の際には多くの人が集まるために、人との距離も取りにくく密になりがちです。災害から、そして新型コロナウイルスの脅威からも地域住民を守るため、感染予防対策の取り組みが必要不可欠です。壁画のメッセージを通して人々の感染予防意識を高めるとともに、手洗い場の設置、マスクや石鹸といった衛生用品の備蓄など、シェルターの受け入れ体制も整っています。
バングラデシュでは3月中旬から感染状況が急激に悪化しています。しかし人々の警戒心が低く、特に地方ではマスクをしていない人が多いのも現状です。これから訪れる5月のサイクロンシーズンに合わせ、災害時に人々が安心して避難できるよう感染予防への働きかけに取り組みます。
<草の根技術協力事業>
プロジェクト名:「サイクロンに強い地域・人づくりプロジェクト -サイクロン常襲地で、地域全体で防災、減災力を高めます-」
実施団体:特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会
このプロジェクトでは、バングラデシュを度々襲うサイクロン災害に強い地域づくりを目指し、現地NGOや地域の防災委員会との協働のもと、郡の防災計画の策定、防災教育や啓発活動を実施しています。