海外で日本の地上デジタル放送技術が採用されていることをご存知ですか?JICAは途上国の地上デジタル化を支援する事業を進めています。その一環として、東京センターではコロナ禍で来日できない研修員に対して日本の技術や経験を伝える機会を提供すると共に、研修員間の知識の共創を目指して遠隔研修を実施しています。
2021年10月13日
テレビ放送は情報の伝達のみでなく、教育、保健衛生、民主化などに関する知識を伝達する手段として用いられています。2006年にブラジルでの導入を皮切りに現在では世界20か国で日本方式が採用されており、JICAは日本方式(ISDB-T)の政策や技術を途上国に普及することを支援しています。日本方式の特徴として、国民の命を守る緊急警報放送、携帯端末でのテレビ受信、データ放送による多様なサービスが挙げられます。
国ごとに進捗状況の差はありますが、JICAは無償資金協力や有償資金協力でテレビ放送網の整備に協力する一方で、専門家の派遣や本研修のような研修事業をとおして放送設備の保守・修理を担当する技術者や省庁の政策立案者の能力向上を計っています。また、効果的なコンテンツや番組制作をテーマとした研修も実施しており、地上デジタル放送導入に向けた支援や途上国の人材育成に貢献しています。
地上デジタル放送の技術・政策の支援をテーマとする研修「地上デジタルTV放送政策・技術」が14日間の日程を終え、修了しました。研修中は、数式を用いた演習で実際に放送チャンネルを決定するといった体験や函館放送局と中継を繋ぎ設備の紹介など現場視察を代替する講義をとおして、地上デジタル放送の理解を深めることが出来ました。質疑応答は非常に盛り上がり、研修員同士が教え合ったり自国の経験を共有したりする場面が見られました。
放送政策、技術理論、地上デジタル放送の特徴などを学び、最終日には学んだことを踏まえて自国の課題解決にどのように活かすかについてレポートを作成しました。作成したレポートを基に、各研修員の成果が自国の政策に反映されることや放送通信環境が改善されることを期待しています。
参加した研修員からは、「地上デジタル放送の概要を理解できた」、「地上デジタル放送導入に向けて日本に更なる協力をしてほしい」との声が聞かれました。
コロナ禍で制約が多いものの、創意工夫をしながらJICAはこれからも研修事業を実施していきます。