教員生活11年目を迎える田中由恵先生。学校の夏季休暇中に、JICAで三日間の研修を受けられました。
2021年10月15日
東京都は、公立学校中堅教諭等資質向上研修Ⅰとして、教員11年目になる先生方に、学校外の機関・企業・団体等での就業体験を課しています。北区立滝野川第二小学校・田中由恵先生は、その就業先としてJICAを選び、三日間にわたり開発途上国への技術協力事業から国内での市民参加事業まで多くを学ばれました。最終日午前中は、JICA東京の職員と「教科書をもとに授業でどのようにJICA・途上国・国際協力を伝えられるか」についての意見交換の時間を持ちました。
田中先生が普段教えているのは「図画工作」ですが、JICAでの研修のため6学年の様々な教科書を事前に研究され、こんなアイディアを教えてくださいました。
「外国語の教科書(NEW HORIZON,東京書籍)の中には『JICA STAFF』の記載がある。また世界の学校の様子が分かるページもある。こんな風に「世界の教室は?」「世界の先生は?」をJICAが紹介してくれたら、授業でも取り上げたい、紹介してみようと思う先生がいるのではないか」
「6年生の道徳の教科書(東京書籍)の中には『エンザロ村のかまど』という話があり、それはケニアの人々のために、かまどを改善させて普及することに取り組んだ岸田ケサさんのお話。『JICAとは/ODAとは/国際協力』という説明ではなく、ヒューマンエピソードの中で描かれる『国際協力』は、先生達にも児童・生徒にも理解しやすく、このようなエピソードは教室で伝わりやすい。」
「1年生の道徳では『お世話になった人』という項目がある。今回のJICA研修で、世界各国との『相互依存』の関係性を痛感したが、私たちの生活が知らぬ間に色々な人のお世話になっている ということもあると思う。
国際協力しましょう!ではなく、「身近なお友達が困っていたら、手伝うよね?」というところから、児童に「じぶんごと」として協力について考えさせられるのではないか。」
他にも社会科での活動、オリパラ教育と関連させた取り組みなど、様々なご提案にJICAスタッフにとっても貴重な学びの機会となりました。身近なところから取り組んでいきたいと思います。
さて、三日間の研修を経て、「かわいそうな人を助ける」のではなく、「途上国の人と一緒に暮らしながら、一緒に考えて、一緒に解決する」という国際協力を伝えたい、と思ったという田中先生。9月に早速、小学1年生に授業をしてくださったそうです。
「知っている国の名前は?」「その国に、私たちはお世話になっているかな?」
そんな田中先生の問いかけの中から、子ども達は自分たちがよく知らなかったところで自分たちの生活に色々な国がかかわっていることに気づいたようです。そして、「ほかの国が困っていたら、どうするかな?」「日本が困っているとき、ほかの国はどうしてくれたかな?」を考え、映像から学んだそうです。
さらに、「魚がなくて困っている人」に寄り添うには、たとえば・・・
・魚や、それに代わる食べ物をもってくる
・魚の釣り方を教える
・なぜそこで魚がとれなくなってしまったか一緒に原因を探る
と色々な方法があることが例にあげられ、国際協力も同様で、緊急時の物資支援や、持続可能な開発に繋がる技術協力、環境問題への対応…と様々にあることを、子ども達は学んだそうです。
市民参加協力第一課・八星 真里子