コロナ禍の中で帰国した隊員が語る「協力隊経験、任国での学び」

NPO法人 シニアボランティア経験を活かす会(以下、SV会)は、設立間もない2006年より、帰国報告会を実施しています。今年度は発表者の多くがコロナ禍の中、任期途中の帰国が余儀なくされた隊員。いったい、どんな報告が聞けるのでしょう?

2021年11月11日

目指すは『いなくても困らないけれど、いてくれたら助かる人』!? 

新型コロナウィルス感染拡大の中、昨年度上期はリモート開催されたSV会による帰国報告会ですが、今年度は対面・オンラインのハイブリッド開催をされ、リアルで、リモートで、その熱い想いが共有されました。その一コマをご紹介します。

~任地で得た学びは?~
「協力隊に行く前は、異文化理解は大事と思っていました。けれど、実際には理解はできるけれど受け入れるのは難しい生活習慣も多々ありました。無理して受け入れるのではなく、理解した『異文化』を尊重するのが大事、ということを思いました。」
「ホームシックになるかな?と思いながら、初めての途上国に降り立ったけれど、出会う人皆が優しくて一度も『日本に帰りたい』と思わなかったです。」
「日本だったら『車いすを使うようにする』のが当然な状況の脳卒中患者がいた。しかし『未整備な道路で車いすなんて使えない。自分で歩けるようにならねば!』と、リハビリに励み、信じがたい回復力で歩行を取り戻した方がいた。こういう事例は枚挙にいとまがなく、教えるつもりが、こちらの常識を裏切る任国の人々から沢山学びをいただいた。」
「20年ちかく協力隊派遣がなかった地域に配属された。そのため地域の人々に協力隊の理解はなく『あなた何しに来たの?』と聞かれる始末。そのような中で、「いなくても困らないけれど、いてくれたら助かる人になる」ことを目指して活動をした。頑張らないという意味ではない。自分がいなくなったら困るという状況を作ってしまってはだめだから。」
「任地の人々は経済的に貧しくとも、おもてなし精神がすごかった。ないことに不満を持つのでなく、それを受け入れ生きていた。家族を何より大切にし、2歳の子どもも手洗いの洗濯を手伝っていた。『途上国』というラベリングでは看過されかねない魅力が沢山あった。」

上期報告会、12名の発表者の皆さん


~コロナで急な帰国となった後は何をしている?~
「帰国後、オンラインで授業してよという向こうの要望に『やってみる!』と答えている自分に変化を感じた。協力隊参加前なら『そんなのやったことがないし…』としり込みしていたと思う。」
「今は任国の仕事相手からメールで月次報告をもらっている。それをメール、あるいはオンライン会議でフォローし、アドバイザーのような役割を務めている。」
「オンライン指導をしようと思ったが、お互いの通信環境から難航することも…。それでも何とか『弁論大会』を開催したが、弁論は事前録画・当日は質疑応答に集中等、趣向を凝らした。」
「自分の活動はオンラインで継続しがたい。しかし、またいつ任国に戻ってもいいように、今は自己研鑽の時間と位置づけ、今までやったことがない仕事や勉強に挑戦している。」

報告会には、体験発表者、SV会メンバー、JICAスタッフの他、発表者のご友人や、協力隊に興味のある方もいらっしゃいました!

12名の方々が二日間にわたって報告くださった上期に続き、11月27日は8名の方々が対面・リモートで活動体験を報告くださいます。
是非、皆さんJICA東京にお越しを!あるいは、Zoomでのご参加を!
以下リンク先より、詳細確認・申し込みいただけます。


市民参加協力第一課・八星真里子