大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISMフェーズII)基本計画策定調査

2016年10月1日

地球環境部環境管理グループ
環境管理第1チーム 尾上保子

1.はじめに

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JICAトンガ支所HPでも何度か紹介していただいている、「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト」通称J-PRISMというプロジェクトのフェーズII実施の要請がトンガ政府からあり、2016年7〜8月にかけて2回の調査を実施しました。
これまでのトンガ支所HPで何度も紹介されている通り、トンガは本当にきれいな南の島でした!さらに、「途上国」と聞くと、「あまり便利なモノが手に入らない不便な場所」というのが1つのイメージかと思いますが、トンガには、周辺国などからの品物が手に入るスーパーもあるので生活にはあまり困りません。
そんなトンガですが、普段の生活にあまり困らないということは、いろいろなモノが売っているということで、ビニール袋、ペットボトル、缶、ガラス、プラスチック製品、といったごみも出るということです。
日本ではごみは焼却処分されることが多いですが、トンガをはじめとした小さな島国では、ごみは焼却などでカサを小さくできることもなく、ほとんどそのまま蓄積されていきます。ごみを埋め立てる処分場を確保することや、処分場を適切に運営していくことは、多くの途上国でまだまだ難しい現状があります。もし何も手を打たなかったら、トンガの美しい自然や人々の暮らしに確実に負の影響を与えていきます。トンガの環境を守るために何をしたらよいのかを把握するため、調査を行ってきました!

2.トンガの中心地:トンガタプ島

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トンガタプの処分場。現在は、奥に見える小高い部分で埋め立てが行われている。

トンガタプ島では、廃棄物公社(注)がごみの回収・処分をしています。以前は廃棄物処理料金の回収がうまくいかず、財政的に難しい状況でしたが、現在は電気料金に乗せて回収することで安定し始めています。トンガの廃棄物管理のホープのような存在となりました!
また、トンガタプ島にあるリサイクル会社を訪問し、インタビューも行いました。リサイクルには、お金と技術が必要です。大洋州の国々は、多くがその両方を持っておらず、中国やニュージーランドに輸出しなければなりません。現在、金属類のリサイクル市場価格が安いため、回収や海外への輸送はそれほど活発には行われていないようでした。

(注)廃棄物公社(Waste Authority Limited、トンガ公営企業省傘下の公営企業)廃棄物回収等を行う大洋州で唯一の公営企業

3.離島での調査:ババウ島

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ババウ島の写真。このようなヨットが沢山訪れます

次の調査地は、クジラと泳げる素敵な島で有名なババウ島です。トンガタプ島から飛行機で1時間くらいの島です。外国からの観光客もたくさんやってきます。ヨットで来る人もいるようです!
そんなババウ島でも、J-PRISMフェーズI以前は住民への廃棄物回収が行われておらず、ブッシュに捨てたり庭で燃やされていました。しかし、フェーズIの支援により(詳しくは下記リンク先を参照ください)、コミュニティによる回収と処分場への廃棄が行われるようになりました!
トンガ国内の関連機関では、JPRISMフェーズIで作り上げたコミュニティ回収システムを持続発展的な形にしようとしており、トンガタプ島の廃棄物管理を行っている廃棄物公社にサービスを担ってもらえるよう、保健省と環境省の間で調整が行われていました。

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カラカ処分所の様子

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コミュニティ住民による廃棄物回収の様子

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トンガタプ島をはじめ、離島のババウ島でもリサイクルケージが設置されていました

4.そして調査団は次の島へ:ハアパイ諸島です!

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島と島をつなぐ細い道。

トンガタプ島とババウ島の間にある島々です。調査時に、いくつかの島を行き来しました。島と島の間が細い道でつながっているところもあり、綺麗な海を間近で見ることができました。
ハアパイ諸島の知事は、すごくエネルギッシュな人でした。王様と貴族が存在するトンガで、ハアパイ諸島の知事だけが平民の出身だそうですよ。廃棄物管理に関しても関心が高く、島の目抜き通りの清掃を新たに始めるなど、すごくやる気の感じられる方でした。
しかし、実際の廃棄物管理と言うにはまだまだ問題があります。
ハアパイ諸島には廃棄物の回収システムがありません。住民の皆さんは、自分で処分場まで運ぶか、ブッシュに捨てるか、庭で燃やすという方法しかなく、大部分はブッシュに捨てられているようでした。
知事はこのような状況を問題視しており、JICA調査団も「何とかしたい」という気持ちになりました。

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家庭から出るビニール類などのごみは、道のわきにあるブッシュに捨てられています

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清掃を行う職員のおかげで目抜き通りは美しく保たれています。

5.そして次の島へ:エウア島です。

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トンガ国内の移動は小さなプロペラ機で行きます。私は実はプロペラ機初体験でした!

トンガタプ島から飛行機で15分!思わずチケットを2度見しました(笑)。
早速、エウア島保健省の担当者にインタビューに行きました。
担当の彼女は、保健省の衛生管理員としての使命を果たしつつ、廃棄物管理も頑張っている様子。国からもらえる予算は少ないけれど、精一杯頑張っていました。
そして、訪問した日は本来処分場が閉鎖されている曜日でしたが、特別に視察させていただきました。
視察中ちょうど1台の車が入ってきましたが、何やら保健省の彼女から指示が。
「そうか、きっと今日は廃棄できない曜日だから帰るように促したんだな」
と思っていたら、同じ車が処分場の端っこの崖の上からごみを投げ捨てるではありませんか!
「あの人、捨てているけどいいの??」
と尋ねると、ニコニコ顔で
「オッケーよ!あっちから捨てるように言ったのよ。そうしたら、ブルドーザーで寄せる必要もなくて、安上がりにできるでしょ?」
「。。。。。」
そうなのです!彼女たちは頑張っているのです!しかし、病院関係者で廃棄物管理の知識が十分ではない彼女には、これが限界というのもひしひしと理解することができました。
ハアパイ諸島に引き続き、何とかしたいパート2です。

6.最後に

支援しなければいけないことは沢山ありますが、予算は限られています。
フェーズIIの支援では、今回見た各島の問題の全てを解決することはできませんが、トンガの廃棄物管理の現状を正しく把握して支援の内容を考えなければいけません!トンガ側と日本側の双方が納得できる支援内容にしようと、調査の結果を踏まえ関係機関との協議を重ねた結果、J-PRISMフェーズIIでは、今後、各島へのサービス範囲拡大が期待されている廃棄物公社への支援を通し、トンガの離島における廃棄物管理の基盤作りに取り組むこととしました。今後も美しいトンガの環境を保つため、よい支援ができるように頑張りたいと思います!

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ステークホルダーたち(筆者後列右から二人目)

以上