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「四川大地震こころのケア人材育成プロジェクト」を開始(中華人民共和国)

2009年05月11日

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合意文書を交換する様子

2009年4月27日、四川省成都市で、中華全国婦女連合会とJICAの間で「四川大地震復興支援−こころのケア人材育成プロジェクト」に関する合意文書への署名が行われ、技術協力プロジェクトが正式にスタートすることになりました。

このプロジェクトは2008年5月12日に、中華人民共和国西部で発生した四川大地震の復興支援の一環として、同地域で被災者に対するメンタル面のケア活動に従事する人材の育成を目的とし、兵庫県内の関係機関(注)を日本側の主な協力機関として、2009年6月から5年間の計画で実施されるものです。

被災地域ではインフラを中心に着々と復興が進められていますが、被害に遭った住民や行政関係者は現在でも心に大きな傷を抱えており、生活に支障をきたす可能性もあります。このため、メンタルヘルスケアに関する取り組みの強化や、長期的な事業の実施が必要とされています。

日本には、1995年の阪神・淡路大震災以降、被災者に対する長期的な「こころのケア」に取り組んできた実績があることから、今回のプロジェクトを通じて日本の知恵や経験を中華人民共和国側に伝え、よりいっそう被災者のこころのケアに生かしていくことが期待されています。

署名式では、中華全国婦女連合会の趙東花書記など同国側関係者から、地震発生後の日本の緊急援助隊派遣や復興支援に対する感謝の言葉が述べられ、今回のプロジェクトを重視し、積極的に進めていきたいとの発言がありました。プロジェクトの日本側関係機関となる兵庫県の井戸敏三知事からもメッセージが寄せられ、JICAと連携して協力をしていくことが表明されました。

また、今回のプロジェクト開始に併せて、兵庫県でこころのケアの経験を持つ専門家チームが陝西省宝鶏市の被災地を訪問し、現地の教育関係者や教員との意見交換、被災した学校への訪問などを行いました。

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日本側専門家によるこころのケアの模擬授業

陝西省宝鶏市では、地震後、カウンセリングやパンフレットの配布、さまざまなイベントの実施などを通じて、被災した学生や児童へのこころのケアを行ってきましたが、四川省と同様、専門的な教育を受けた人材が少ないことや、継続的なサポートが少ないなどの問題が明らかになりました。教員らの話によると、心的外傷により、今でも就寝中に悪夢を見る子どもや、授業に集中できない子どもがいるとのことで、こころのケアのニーズは依然として高く、子どもへの対応方法など、教員への指導体制が必要とされていることも明らかになりました。

今後、プロジェクトでは、教員を含めこころのケアに携わっている人たちの活動を継続的に支援する体制を整える取り組みを進めていく予定です。

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神戸の子どもたちが描いたヒマワリの絵が贈られた

なお、今回の専門家の学校訪問に、メンバーとして参加していた兵庫県立舞子高校環境防災科の諏訪清二教諭から、神戸の子供たちが陝西省の被災地の子どもたちのために描いた大きなヒマワリの絵巻物が手渡されました。これには、「神戸と四川は被災の経験でつながっている」というメッセージが込められています。JICAではこのような活動の一つひとつが、広い意味でのこころのケアにつながっていくと考えています。

中華人民共和国事務所


(注)兵庫県こころのケアセンター、兵庫県震災・学校支援チーム(EARTH)、兵庫県教育大学、兵庫県立大学地域ケア開発研究所、日本心理臨床学会、日本臨床心理士会、日本トラウマティックストレス学会など。