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ワン・ストップでスムーズな貿易を目指す(ザンビア・ジンバブエ)

−アフリカで初のワン・ストップ・ボーダー・ポスト運用開始−

2009年12月22日

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OSBPの国境施設の外観

南部アフリカに位置するザンビアとジンバブエの国境、チルンドにおいて、アフリカで初のワンストップ・ボーダーポスト(One Stop Border Post: OSBP)の運用が始まり、12月5日、施設の開所式が執り行われました。

アフリカには、53もの国と地域が存在し、そのうち、ザンビアやジンバブエを含む15ヵ国は海岸線を持たない内陸国です。それらの内陸国は、資源や農産物を輸出入するのに陸上国境を越える必要がありますが、道路や国境施設の整備が十分でなく、国境通過の手続きに数日かかってしまうことも珍しくありません。それが、輸送コストをアジアの5倍近くにまではね上げ、スムーズな貿易を妨げる要因の一つとなっています。

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ザンビアとジンバブエを結ぶチルンド橋。両国間を流れるザンベジ川が国境線となっている

この状況を解決すべく、現在アフリカの多くの国で導入が検討されているのがOSBPです。これは、国境を接する二つの国がそれぞれの国で個別に実施していた出国・入国手続きや税関検査を、両国が一つの施設内で一括して行う仕組みのことで、同システムの導入により、国境通過時間の大幅削減が期待されています。日本は、2002年に無償資金協力でザンビアとジンバブエの国境を流れるザンベジ川に、老朽化した旧橋に替わる新チルンド橋を建設していました。その後、交通需要の多いチルンド国境でOSBPを導入するというアイディアが具体的になり、議論を重ねた末、施設建設などのハード面、法整備支援や国境施設職員研修などのソフト面の支援を一貫して行うこととなりました。

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開所式で施設を視察するバンダ・ザンビア大統領(中央左)とムガベ・ジンバブエ大統領(中央右)

開所式典は、両国大統領出席の下、500人以上の関係者が参加し、盛大に行われました。本事業に協力したドナー(注1)の中で最初にスピーチを行った、三田村秀人在ザンビア日本大使は、「日本は今後もOSBP支援を拡大していく所存。国境周辺のコミュニティー環境改善なども視野に入れ、広く取り組みたい」と述べました。ルピア・バンダ・ザンビア大統領からは「OSBPの開始は、アフリカ南部地域経済の成長と、地域内貿易促進における歴史的な節目である。JICAおよび関係機関の多大なる支援に感謝する」との謝辞がありました。次いでロバート・ムガベ・ジンバブエ大統領は「通関に伴う越境手続きに長時間を要することが、世界市場におけるアフリカの産物・製品の競争力の低さの要因となっていた。OSBPにより手続きがスピードアップし、アフリカの経済成長が促進されることを期待する」と、本事業への思いを語りました。

日本は、2008年5月に行われたアフリカ開発会議(TICAD IV)でも、OSBPへの支援を拡大することを表明しており、今後もアフリカにおける物流促進に対し、より一層の協力を行っていきます。それを受けてJICAでは、今般の開所式に合わせ、12月6日に、アフリカ各地でOSBP導入に取り組む東アフリカの5ヵ国(ケニア、ウガンダ、タンザニア、ルワンダ、ブルンジ)や、地域経済共同体の関係者などを招待して、チルンドでの経験を広く共有するためのワークショップを開催しました。

JICAでは、OSBP導入による経済の活性化だけでなく国境周辺のコミュニティー開発支援も視野に入れ準備を進めており、2010年には、チルンド付近に青年海外協力隊員を派遣する予定です。JICAはこれからも、「人々のためのインフラ」(注2)の具現化に向け支援を行っていきます。


アフリカ部
ザンビア事務所
南アフリカ共和国事務所


(注1)本事業は、東南部アフリカ市場共同体(Common Market for Eastern and Southern Africa: COMESA)の公式事業として、JICAと英国国際開発省(Department for International Development: DfID)が連携支援。また、南部アフリカ開発共同体(Southern African Development Community: SADC)、アフリカ開発のための新パートナーシップ(New Partnership for Africa’s Development: NEPAD)も支援している。

(注2)貧困削減の実現には、貧困層に裨益する持続的な経済成長が必要であり、その促進にインフラが重要な役割を果たすという視点から、これまで以上に「人」に着目し、インフラ開発を人々の潜在的な能力の発現のために生かすという概念。