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緒方理事長とヨルダンのリファーイ首相が会談

−中東地域の課題解決に共に取り組むことを確認−

2010年10月18日

【写真】

リファーイ首相(右)と会談する緒方理事長

10月13日、緒方貞子JICA理事長は、ヨルダンのサミール・リファーイ首相と都内で会談した。首相と共に来日したヨルダンのエネルギー資源鉱物相、産業貿易相、運輸相、公共部門開発相兼大規模事業担当国務相、計画・国際協力相ら5人の閣僚も同席し、日本とヨルダンの今後の協力について意見が交わされた。

中東支援における日本の「パートナー国」

ヨルダンは2006〜2015年の10年間の国家戦略で「収入向上の機会拡大」「生活水準の向上」「社会福祉の保障と国民の生活の質の改善」を目標に掲げ、取り組みを進めている。JICAはこれに沿って、「産業基盤育成・雇用促進」「水資源の有効活用・環境」「社会的弱者の支援」などを協力の主な柱とし、無償資金協力、技術協力や専門家派遣を通じた支援を実施している。また、JICAはヨルダン政府と連携し、国境を接するイラクの復興支援や、ヨルダン国内で生活するパレスチナ難民への支援も行っている。ヨルダンは日本にとって、中東支援の重要なパートナー国でもある。

会談の冒頭でリファーイ首相は、今後、日本との協力の下、鉄道網その他物流ネットワークの整備などを通じてヨルダンを中心とする経済活動を活性化し、イラク、パレスチナなどを含む地域の安定に寄与していきたいと述べ、計画中の国家プロジェクトへの支援の期待を表明した。

計画中の国家プロジェクトには、「原子力発電事業」「水システムの構築」なども挙げられている。このうち「原子力発電事業」に関しては、2010年9月にヨルダンと日本政府の間で「日・ヨルダン原子力協定」が締結され、日本企業の受注が期待される。また、「水システムの構築」については、紅海と死海をつなぐ導水路の建設、海水の淡水化による上水供給、水の高低差を利用した発電などを含む、水を利用した包括的なシステムの構築が検討されている。年間降雨量が少なく、水資源が乏しいヨルダンでは、水問題解決が喫緊の課題だ。

新規円借款への期待

一方、ヨルダンは近年の世界同時不況の影響を大きく受け、海外からの資金の流入が滞ったことで財政が悪化している。リファーイ首相からは、新規円借款による財政支援への期待が表明された。

緒方理事長は、ヨルダンが中東地域の安定に重要な役割を果たしていることに敬意を表すとともに、JICAがヨルダンで行っているイラク、パレスチナ人向けの人材育成支援を今後も強化していきたいと強調し、このほかにもJICAとしてどのような支援ができるか検討していきたいと伝えた。加えて、新規円借款に関しては、世界銀行などとも連携しながら、ヨルダン政府と一層議論を深めたい旨を述べた。

日本は2004年にヨルダン政府との間で「日本・ヨルダン・パートナーシップ・プログラム」を締結。以来、ヨルダンの教育・技術水準の高さを生かし、パレスチナ、イラク、イエメンから研修員をヨルダンに招き、第三国研修を実施してきた。研修の一つに、ヨルダン電力省との連携により2004年5月から実施している「イラク向け電力分野研修」があり、成果を挙げている。また、この研修には過去にJICAの支援で建設された、さまざまな施設も活用されている。ヨルダン側からは、今後アフガニスタンからの研修員も受け入れ、国づくりを担う人材の育成を行っていきたいとの意向が述べられ、会談は締めくくられた。