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日本・ブラジル グローバル・パートナー宣言

−JBPP10周年・三角協力25周年記念式典開催−

2010年11月24日

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「ドイツ、フランス、米国とも三角協力を行っているが、日本とのイニシアティブが最重要」と述べたファラーニ長官

「日本の協力は『供与』という側面だけでなく共同事業を行うための組織能力強化であると認識している」

マルコ・ファラーニ・ブラジル国際協力庁(Agencia Brasileira de Cooperacao:ABC)長官の言葉は、国際協力の担い手として自信をつけつつあるブラジルの意識を鮮明にするものだった。

ドナー化するブラジルとJICAのきずな

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左から芳賀克彦JICAブラジル事務所長、三輪昭在ブラジル日本大使、開会の辞を述べるルイ・ノゲイラ・ブラジル外務省副次官、小林正博JICA中南米部長、ABCファラーニ長官

10月29日、ブラジル外務省国際会議場(ブラジリア)で開催された「日本・ブラジルパートナーシッププログラム10周年・三角協力25周年記念式典」での一こまだ。

JICAはブラジルに対して行ってきた協力をベースに、1985年から同国と共同で他の開発途上国を支援する「三角協力」(注1)を展開してきた。2000年にはこの三角協力の政府間枠組みである日本・ブラジルパートナーシッププログラム(Japan-Brazil Partnership Programme:JBPP)(注2)が両政府によって締結され、協力をさらに推進していく体制が整えられた。今回の式典は、このプログラム締結10周年と三角協力開始25年を記念して開催されたものだ。当日は、JICAのカウンターパート機関であるブラジル国際協力庁ほか、各国大使館、国際機関、ブラジル国内の協力機関などから約180人が出席した。

ブラジルと日本の間の三角協力は、その多くが第三国研修(ブラジル国内でブラジルと日本が共同で他国を対象とした研修を実施する)の形式で行われており、言語や気候風土が類似している中南米諸国およびポルトガル圏アフリカ諸国を対象としてきた。2007年の緒方貞子JICA理事長とセルソ・アモリン・ブラジル外務大臣の会談以降は、JBPPの枠組みによる共同プロジェクト(第三国で日本とブラジルが共同で行う技術協力プロジェクト)が増えており、開発インパクトの大きな案件が形成・実施されてきている。

JBPPを担う研修実施機関の実力

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ブラジルのセラード地帯では、不毛の地といわれたサバンナ土壌が、日本の協力で世界有数の農業地に変貌した

式典では、実際に三角協力実施を担っているブラジル国内の機関に対し、ブラジル国際協力庁とJICAから長年の功績をたたえる感謝状が授与されたが、中でも今、がぜん注目を浴びているのが、ブラジル農牧研究公社(Empresa Brasileira de Pesquisa Agropecuria:EMBRAPA)だ。

これまで第三国研修が主流であった三角協力、JBPPの系譜において、ブラジル国際協力庁がブラジル農牧研究公社をパートナーとして史上最大規模の三角協力共同プロジェクト実施に乗り出そうとしているからだ。それはアフリカ南東部に位置し、ポルトガル語を共有するモザンビークでの農業開発(「日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業」Triangular Cooperation for Agricultural Development of the Tropical Savannah in Mozambique:ProSAVANA-JBM)。ブラジルのサバンナ地帯で日本が協力した農業開発の体験を生かして、類似した生態系を持つモザンビークでの開発に貢献しようというプロジェクトだ。

式典ではブラジル農牧研究公社本部研究員アウベルト・サンタナ氏が「日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業」についてプレゼンテーションを行い、「予定している10年での技術移転完了には困難も伴うことが予想されるが、ブラジルの経験をもとにモザンビークの開発に貢献することは、必ず両国に利益をもたらすものと確信している」と強調した。

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JICAおよびABC関係者から感謝状を受け取った谷田リツコさん(左から二人目)。JBPP第1号ブラジル人専門家谷田さんは、サンパウロ生まれの日系二世

また、JBPPにより、それまでの第三国研修に加え、日本・ブラジル両国からの専門家派遣が可能になった。その枠組みの下で2007年10月に初めて派遣されたブラジル人専門家、サンパウロ大学総合病院心臓病研究所元総婦長、谷田リツコさんも式典に参加し、感謝状を受け取った。「看護師を育成するためにアンゴラに派遣された。環境や状況は厳しかったが、看護師たちの成長を目のあたりにし、何物にも代えがたい経験となった。ブラジルと日本を代表してアンゴラに行かせていただき、大変誇りに思っている」と、谷田さんはその体験を語っている。

パートナーシップは次のステージへ

上述の「日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業」では、2011年に技術協力プロジェクト「ナカラ回廊研究・技術移転能力強化プロジェクト」がスタートする予定だ。まず、5年間のプロジェクトを実施し、現地に最適な農業技術の研究、人材育成を行っていこうというもの。2011年1月1日に任期を終えるブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領が、11月9日、訪問中のモザンビークで「日本と連携してアフリカ大陸において農業分野でも特筆すべき協力を行っていく」と述べている。大統領は任期中、アフリカへの最初の訪問国と最後の訪問国をモザンビークとした。この大統領の選択こそ、同事業にかけるブラジルの意気込みを象徴しているといえるだろう。

ブラジル国際協力庁の予算は、2008年の約1,800万レアル(約9億円)から2010年には約5,200万レアル(約26億円)へと、ここ3年は毎年1.5倍以上の勢いで伸びている。JBPPでは、「日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業」のほかにも、アンゴラに対する保健システム強化、職業訓練、中米諸国に対する地域警察活動など、多数の新規事業が控えている。これらの事業はブラジルの参加なしでは実現しない協力だ。JICAはグローバル・パートナーシップの担い手であるブラジルと共に、このような両国の連携による開発インパクトの大きい協力を、今後も推進していく。


(注1)先進国や国際機関と、支援を行う途上国が連携して、支援を受ける途上国の発展・開発のための共通の案件目標を設定し実施する国際協力の形態。
(注2)JBPPの枠内で、これまでに17の第三国研修と7件の共同プロジェクトなどを実施している。