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高橋尚子さんがJICAオフィシャルサポーターに就任

2011年09月12日

シドニーオリンピックマラソン金メダリストの高橋尚子さんが9月9日、JICAオフィシャルサポーターに就任、JICA本部(東京都千代田区)で記者会見が行われた。高橋さんは「責任を伴う役目だが、やりがいもある。JICAの事業紹介を通じて、開発途上国の人々の置かれている状況を広く知ってもらい、人々の暮らしの向上に役立てれば」と抱負を述べた。

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「高橋さんの目を通して見た開発途上国の現状を伝えてほしい」と鈴木室長(右)から高橋さんに委嘱状が手渡された

JICAオフィシャルサポーターは、開発途上国の抱えるさまざまな課題解決に協力しているJICAの活動を、著名人を通して広く市民に知ってもらうための制度。高橋さんは、テニスプレーヤーのクルム伊達公子さん、元サッカー日本代表の北澤豪さんに続いて3人目となる。

会見では、鈴木規子JICA広報室長が「東日本大震災後、なぜこういう状況で国際協力が必要なのかという声が多く聞かれるが、被災者を含む全国民に対し、世界中の国々から、温かい励ましの声や募金をたくさんいただいた。困ったときはお互いさま。その気持ちに応える形で、今後も開発途上国を支援していくことが必要だ」とあいさつ。「JICAの事業に共感していただいた高橋さんの協力を得ながら、開発援助を進めていきたい」と述べ、オフィシャルサポーター委嘱状を手渡した。

途上国の子どもたちの可能性を信じて

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ケニアを訪れて子どもたちに靴を寄贈し、一緒にランニングを楽しんだ

高橋さんが国際協力に興味を持ったきっかけは、3年前に始めた「スマイルアフリカプロジェクト」。靴がなく、はだしだったり、はだしに近い状態での生活を余儀なくされている開発途上国の子どもたちに、サイズが合わなくなった日本の子どもたちの靴を寄贈するプロジェクトで、これまでにケニアやエチオピアを訪れ、子どもたちに直接、手渡してきた。

「3年前は、『(恵まれない環境にある)自分たちは何にもできない』と話していた子どもたちが、靴を履いて走ることによって自信をつけ、『もっと速く走りたい』『陸上選手になりたい』という目標を持つようになったことに、とても驚いている」と高橋さん。ケニアにある世界最大のスラム街・キベラには、50人のマラソンクラブができるほど、走ることに興味を持つ子どもが増えたという。

プロジェクトに合わせ、2010年と2011年には、ケニアで、理数科教師を育成するJICAのプロジェクトの現場などを視察。高橋さんは「人づくりは、目に見えない地道な活動だが、それによって人と人とが確実につながっていくのを感じた」と述べた。また、森林保全に取り組む青年海外協力隊の活動現場も訪れ、子どもたちと一緒に水くみを体験。「とても清潔とはいえない水が、子どもたちの飲み水だと知ってショックを受けた。週に2日しか水が出ないところで奮闘している協力隊員の姿と、彼らの活動がコミュニティーの人々にとても感謝されていることに感動した」と話した。

国際交流から国際協力へ

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「身近なアジアの国々や2016年にオリンピックが開催されるブラジルの、助けを必要とする人々がいる所にも行ってみたい」と言う高橋さん

現役時代には、友人のケニア出身の元マラソン選手、ダグラス・ワキウリさんが、小学生のときにコーヒー豆を売って靴を買い、走り始めたという話を聞いたという高橋さん。「ケニアやエチオピアには、陸上の素質がある子どもが多い。今後も、走ることを通じて、開発途上国の人々と多くのことを共感しながら、活動を進めていきたい。そして、その活動を国際交流から国際協力へとつなげていくことができれば」と語った。