エボラ出血熱−「緊急事態」宣言から1年。流行拡大防止に取り組むJICAの対策支援−

2015年7月31日

2014年8月8日に世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してから約1年。
リベリア、シエラレオネ、ギニアの「流行三カ国」では合計1万人を超える死者を出し、社会経済発展に深刻な影響を残しました。

JICAは「流行三カ国」に対し、緊急援助としてテントや毛布、スリーピングパッド、ポリタンクなどの支援物資供与を行うとともに、周辺国(アフリカ13カ国、アジア3カ国)でもエボラ対策の支援を集中的に実施してきました。

19か国にわたるJICAのエボラ対策支援(2015年7月31日現在)を、それぞれの国ごとに紹介します。

【画像】

ギニア

WFPと連携したセネガル米食糧支援(出庫時セネガルにて)

【農業技術アドバイザー】
WFPと連携してセネガル米420トンをギニアに送付・配布

【予防接種拡大支援計画】
ギニア保健省に対する車輛5台を供与(エボラの検体、ワクチン、医療従事者等の輸送を目的とするロジスティック支援)

【ギニア国「首都飲料水供給改善計画」FU協力】
給水状況が十分でないコナクリ市において、衛生状況の改善を目的に給水車を10台、ギニア水公社に対して供与。

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リベリア

東京都が無償提供したPPEをリベリア全国の医療施設への配送(リベリア)

帰国研修員による実施されたエボラ研修(リベリア帰国研修員事業)

 【帰国研修員フォローアップ事業】
・モンセラード州社会福祉保健局に対し、エボラ症例追跡調査用車両1台とバイク30台供与
・消毒用クロリン、石鹸、非接触型体温計、医療手袋、手洗いバケツ、啓発活動用メガフォン等の資機材供与
・帰国研修員によるコミュニティ・トレーニングや学校での啓発予防トレーニングを実施

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シエラレオネ

東京都が無償提供したPPEが2015年5月14日にフリータウンKissy Dockyard
に到着。全国の医療機関へ配布予定。(シエラレオネ)

引き渡し式にてPPE着脱のデモンストレーションをする様子。(シエラレオネ)

【サポーティブスーパービジョンシステム強化プロジェクト】
プロジェクト対象県ボンバリ、トンコリリ、プジョン、モヤンバの県保健管理事務所に対し、各台のバイクを供与。エボラ感染状況やモニタリング、啓発活動等に使用

【帰国研修員フォローアップ事業】
・フリータウン貧困地域に位置するプライマリ—ヘルス施設の改修、出産・新生児医療ケア物品の供与。また地域住民53名(若年妊婦)を対象としたエボラ感染対策及び周産期・新生児ケア・栄養改善にかかる保健セミナーを開催
・ウエスタンエリア保健管理チームの執務施設改修、資機材供与(医療ベッド、出産・新生児医療物品)などの供与

【個別専門家「小児看護管理」】
全国の学校8302校(生徒数185万5686名)再開のため、学校の消毒及びエボラ感染対策を行うのに必要な備品・消耗品の配布と消毒の実施。ユニセフ連携案件

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ナイジェリア

ラゴス州のスラムで酋長がJICAが作成支援したパンフを配布して住民に啓発(ナイジェリア「ラゴス州における貧困層のための地域保健サービス強化プロジェクト」)

啓発用パンフレット(英語版)。ヨルバ語、イボ語、ハウサ語、エグン語などの現地語版も作成(合計26万7000部)。

【ラゴス州における貧困層のための地域保健サービス強化プロジェクト】
・ラゴス州の全1次レベル医療施設(プライマリー・ヘルス・ケア・センター)267箇所で、エボラ出血熱に対する知識向上のための啓発パンフレット(英語、現地語4語)を配布
・ラゴス州の公立学校(primary及びsecondary)の計668校で、エボラ出血熱に関する正しい知識や対処法を記したポスターを配布
・ラジオを通じた啓発キャンペーン(多言語)。ラジオ放送にて、エボラの症状や感染経路、対策の内容をジングルにて放送。
・ナイジェリア全土のエボラ対策拠点病院(9か所)に、PPE(1850着)を供与
・ラゴス州の私立学校(1000校)に啓発ポスターを供与(合計1万2000枚)。ラゴス州とオグン州の州境付近でのポスターやバナーを供与合計(9万9200部)
・エボラ出血熱感染・感染疑い患者の治療やトリアージに使用できる、大型テントを供与

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ガーナ

ガーナで実施したPPE着脱等に関する研修(ガーナ「地域保健政策アドバイザー」)

非接触型体温計(128個)の供与式(ガーナ「地域保健政策アドバイザー」)

医療施設に掲示されたエボラ啓発ポスター(ガーナ「地域保健政策アドバイザー」)

国境に設置したサーモカメラの使用方法に関する研修(ガーナ「地域保健政策アドバイザー」)

【地域保健政策アドバイザー】
・陸路国境5箇所に配置するWalk Through Thermometerを供与
・啓発ポスター及びリーフレット(各15万部ずつ)供与
・医療従事者等研修(医療従事者の感染防護〔野口研のみならず病院からの〕検体の取り扱い能力強化)計8州アシャンテ
ィ州、UW州、UE州、ウエスタン州、セントラル州、ボルタ州、BA州、イースタン州でのCase Management TOTの研修会場費を支援
・病院や国境等で使う非接触体温計128個を保健省へ供与

【ガーナ由来薬用植物による抗ウイルス及び抗寄生虫活性候補物質の研究プロジェクト】
野口研検査体制強化(PCR分析機器、ディープフリーザー、検査用資機材等の供与)、野口研検査体制に係る啓発ビデオクリップ制作

【帰国研修員フォローアップ事業】
日本人医師を派遣し、州レベルのRapid Response Teamを強化する(具体的に州レベル・郡レベルの研修)

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マリ

【紛争影響コミュニティ支援のための基礎情報収集・確認調査】
・ギニア国境と接するシカソ州で、UNICEFと連携したエボラ出血熱啓発支援を実施。学校運営委員会を核として、小学校校長・教員を対象とした研修、エボラ啓発を行い、児童約3万人が直接裨益
・各小学校に、簡易な手洗いキットや啓発ポスター、パンフレットの配布などを通じた啓発や、教員等を対象とした研修を今後継続実施する予定

【保健人材管理広域ネットワークプロジェクトRVT】
・エボラ出血熱の判定が可能な研究所Laboratoire SEREFOに対する資機材供与
 防護手袋やメガネ、消毒液など。

セネガル

エボラ発症者及び疑い患者に対応するダカールのファン大学病院センター向け機材機材供与(写真は噴射器)(セネガル「保健行政アドバイザー」)

全国の零細漁民に対するエボラ予防啓発活動支援—エボラ啓発ポスターと漁民(セネガル「水産行政アドバイザー」)

【保健行政アドバイザー】
・ダカールに位置し、セネガル国内におけるエボラ対策の拠点となるファン大学病院センターにおける治療施設整備、物資供与 医療機材(医薬品、ベッド、消耗品等)
・エボラ出血熱のハイリスク地域であるタンバクンダ、ケドゥグ、コルダ州において、エボラ患者を隔離する施設を整備
・医療従事者向けのエボラ対策研修を、中央レベル緊急対策チーム、地方レベル全州医務局長、医療従事者保健センターや保健区の医療従事者および衛生士に対してカスケード式に実施した

【水産行政アドバイザー】
ギニア、リベリアなど近隣諸国への出稼ぎしている零細漁民及び関係者に対するエボラ予防啓発活動支援。啓発用ポスター、Tシャツ、消毒液等の供与

【理数科教育改善プロジェクトフェーズ2】
エボラ対策重点州である6州の全小学校長(約3000人)に対してエボラ予防研修を実施
UNICEFと連携し、小学校教員・児童への啓発活動を促進。間接裨益者として約90万の児童とその家族、対象小学校地域住民に裨益。

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コートジボワール

エボラ出血熱予防対策支援にかかるUNDPとの署名式 (コートジボアール「国家警察能力強化支援プロジェクト」)

国境警察署の警察官に対し皮膚に触れずに測定できる赤外線体温計の使用方法を説明(コートジボワール「国家警察能力強化支援プロジェクト」)

空港で旅客に熱がないかを確認するためのサーモグラフィーの供与(コートジボワール「国家警察能力強化支援プロジェクト」)

【国家警察能力強化支援プロジェクト】
・国境地域及び空港・港・駅に配置された県警察6カ所及び警察署33ヶ所の警察官1014人を対象として、エボラ対策研修を実施
・上記警察署に対して、機材供与防護服(2000着)、医療用ゴム手袋、マスク、洗浄液、消毒液、アルコール手指消毒剤、非接触赤外線体温計。啓発用ポスター240枚を配布
・ローカルレベルでのエボラ対策の体制強化を目的とした研修を国境地域6ヶ所で実施。医療従事者と警察官が計126名参加した(内、医療従事者106名、警察官20名)

【保健人材管理広域ネットワークプロジェクトRVT】
保健人材管理広域ネットワークの人脈を活用しエボラ対策経験共有セミナーの実施
コンゴ民から講師陣15名を招聘、域内3カ国(セネガル、トーゴ、マリ)からの参加者3名と、コートジボワール側参加者40名対象

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ベナン

医療従事者に向けたエボラ対策研修—岡安専門家による講義(ベナン「母子保健プログラム・アドバイザー」)

医療従事者に向けたエボラ対策研修—噴射器のデモストレーション (ベナン「母子保健プログラム・アドバイザー」)

【母子保健プログラム・アドバイザー】
・ラギューン母子病院(HOMEL)へ機材供与(アルコールジェル装置7個)
・アトランテック・リトラル県の保健医療従事者(医師、助産師、看護師、検査技師等)を対象に、計9回の研修実施。計288名が研修受講。また、HOMEL看護助手等を対象に研修実施。計110名が受講。

ブルキナファソ

学校運営委員会メンバーによる啓発活動(ブルキナファソ「学校運営委員会支援プロジェクト・フェーズ2」)

【帰国研修員フォローアップ】
国境の保健ポストへにレーザー式体温計250台、消毒用ジェル・スプレー型700個、点滴型740個を保健省へ供与した。

【学校運営委員会支援プロジェクト・フェーズ】
・国境沿いの4州にて、学校運営委員会を通したエボラ予防にかかる啓発活動を実施。
・啓発用教材供与啓発用ポスター(フランス語・ジュラ語、3万8570枚)、啓発用教材(フランス語、1万5428冊)、Tシャツ(1万5428枚)、手洗い器(ユニセフ・教育省支援)
・裨益者ナショナル講師5名、教育視学官375名、COGESメンバー1万4157名、生徒76万839名

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スーダン

【基礎的医療サービスPHC政策アドバイザー】
・医療従事者向けエボラ対策マニュアル印刷支援(5600部)
・医療従事者(空港勤務者及びハルツーム教育病院隔離センター勤務者)を対象に研修実施
・住民向け啓発教材印刷支援(3種計1万200部)
・全国50名の保健プロモーション担当官に研修実施。ユニセフとの合同開催

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ケニア

医療従事者向けガイドライン(出血熱患者臨床管理ガイドライン)と
エボラ用の携帯電話を活用したサーベイランスシステム(mSOS-Ebola)の手交式 (ケニア「黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築」)

同上

【黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築】
医療従事者のための出血熱患者臨床管理ガイドライン作成(2万1000部)また、既存のプロジェクトで開発した携帯電話を用いる早期警戒システムのエボラ版「mSOS Ebola」を開発。加えて、ケニア中央医学研究所(KEMRI)にエボラ等の感染症検査に関連する資機材供与

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モロッコ

【母子保健(III)】
モロッコの水際対策及びエボラが発生した場合の対策につき、周辺諸国の関係者に対しエボラ対策等のセミナー、ワークショップを開催。モロッコ保健省、WHOと共催で、12か国から22人の保健省感染症対策にかかる担当者を招待、モロッコの参加者を含め100名強が参加

コンゴ民主共和国

【保健アドバイザー】
・国際空港及び主要な国境地点にサーモグラフィーカメラ及びモニター14台を供与
・モデル研修の確立を支援(コートジボワールにおいてコンゴ民のリソースを生かした経験共有セミナーおよびトレーナー研修を実施)

ザンビア

ザンビアのプロジェクトでコウモリを採取するJICA専門家(「アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト」)

ポスター(医療従事者用 - 保健施設、空港貼り出し)

中央省庁と地方省庁の保健省、農水畜産省の行政官・技官、ルサカ内にある関係省庁(ZAWA,CVRI,NISIRなど)を招聘。講義に加え、PPE(防護服)の着用方法、サンプルの梱包方法、環境消毒についての実践研修(「(ザンビア「アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト」)

【保健省アドバイザー】
旅行客用パンフレット(10万部)及び医療従事者用ポスター(2500部)を供与

【アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト】
ザンビア大学獣医学部診断体制体制強化(検査のための試薬・資材を供与、エボラ診断とバイオセーフティに関する研修を実施)

エチオピア

郡レベルのサーベイランスオフィサーに対する研修、アムハラ州でのエボラ対策オリエンテーション(エチオピア「アムハラ州感染症対策強化プロジェクト」)

【アムハラ州感染症対策強化プロジェクト】
首都アディスアベバのボレ国際空港に設置するためのサーモグラフィー4台供与

アジア

エボラ感染疑い検体の取扱いに係わるバイオセーフティ及び実験室診断法の研修会—BSL-3実験室での疑い検体の不活化処理実習 (ベトナム「高危険度病原体に係るバイオセーフティ並びに実験室診断能力の向上と連携強化プロジェクト」)

◆ベトナム
【高危険度病原体に係るバイオセーフティ並びに実験室診断能力の向上と連携強化プロジェクト】
・NIHE(国立衛生疫学研究所)に対する診断体制強化のための専門家派遣
・NIHE及びホーチミン・パスツール研究所に対する(1)PCR検査用機材計3台、(2)防護服を約1000枚の供与(予定)

◆フィリピン
【調査団派遣】
・国立熱帯医学研究所に対する(1)今後整備予定のコンテナ型BSL3の設計・設置、(2)既存のBSL2検査室で実施されている検体検査の流れについて確認し、バイオセーフティの観点から指導・助言を行うための専門家の派遣

◆ミャンマー
【主要感染症対策プロジェクト フェーズ2】
NHL国立公衆衛生検査室に対する防護服と必要付属品を約60セットの供与

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