ODAを現場の最前線で支え、実績を残す――帰国したJICAボランティアへの外務大臣感謝状授与式

2015年10月7日

約2年間の活動を終えて帰国したJICAボランティア(注1)74人に、9月30日、JICA市ヶ谷ビル(東京都新宿区)の国際会議場で、外務大臣感謝状が授与された。

授与式には、現職参加制度(注2)を活用した帰国ボランティアの所属先代表者や、「日本の国際協力−特に青年海外協力隊の活動−を支援する国会議員の会」(JICA議連)所属議員をはじめとする国会議員などが来賓として出席した。

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引き締まった表情を見せるJICAボランティア

日本の社会で活躍できるよう支援していきたい

中根外務大臣政務官

授与式の冒頭、あいさつに立った中根一幸外務大臣政務官は、「これまで多くの開発途上国を訪れたが、どの国もJICAボランティアを高く評価していた」と語り、「今年50周年を迎えた歴史あるJICAボランティア事業は、わが国の顔の見える協力として、日本と途上国との友好協力関係の強化に大きく貢献している」と、その重要性を強調。「日本のODAを現場の最前線で支え、着実な実績を残してきた」ことに、あらためて謝意を表明した。

また中根政務官は、「JICAボランティアを通じて得られた経験を、今後の仕事や地域社会との交流活動の場を通じて、積極的に還元してほしい」と期待を述べるとともに、「政府としても皆さんのような貴重な人材が日本の社会で大いに活躍できるよう支援していきたい」との考えを示し、一人ひとりに感謝状を手渡した。

協力隊の経験を社会に還元

帰国したボランティアを代表してあいさつする岩瀬さん

JICAボランティアを代表して返礼のあいさつに立った岩瀬沙織さん(鹿児島県出身)は、パラグアイでコミュニティ開発隊員(注3)として活動していく中で「時に文化や言葉の壁にぶつかり、自分の力不足に悩む日々もあった」と振り返る。「世界各国で活動しているボランティアの仲間、日本から温かく見守ってくれている家族や友人の存在にはげまされ、共に時間を過ごした任地の人びとの優しさに救われた」と、周囲の支えに感謝した。

岩瀬さんはまた、「日本という国をあらためて見つめ直し、自分と向き合い、とても得難い経験をすることができた」と話し、「この2年間で学び、感じ、得たものをこれからの自分自身の糧とするとともに、日本、そして国際社会へ還元していきたい」と、今後の抱負を語った。

途上国で親近感や信頼感を育む

髙木議員

堂村取締役

横路議員

授与式に続き行われた懇談会では、来賓議員を代表して??木義明衆議院議員(JICA議連名誉会長)が「日本とは環境が違う国々で、大変な苦労を伴う活動をされてきたその勇気、そして根気に、敬意を表したい」とあいさつ。「貴重な経験はわが国のみならず、国際社会の中で大きく花開くものと確信している」と帰国したボランティアを激励した。

また、現職参加ボランティアの所属先である株式会社ザクティの堂村龍明取締役は、代表あいさつを行った同社社員の岩瀬さんを前に、「海外にボランティアに行きたいとの申し入れを受け、貴重な戦力だった彼女を送り出すことについて考えに考えた」と当時の心境を吐露。それでも「彼女の将来、そして会社のため、さらには社会への貢献にもつながる」との思いで送り出した結果、「今、このように立派になって帰ってきてくれた。職場に復帰して、貴重な経験を仕事に生かしてほしい」との期待を述べた。

乾杯に先立ち、横路孝弘衆議院議員は、「これまで各国の国会議員から、JICAボランティアへの感謝をずいぶん耳にした」と語り、「JICAボランティアの活動によって、日本の国と日本人に対する親近感や信頼感が育まれ、こういう積み重ねが日本は平和国家であるとのイメージをつくり上げてきた」と、JICAボランティアが果たしてきた役割に対し、謝意を示した。

活動が進まなかった時間こそ貴重

マラウイでコミュニティ開発隊員として活動した橋本さん

歓談を挟んで、橋本裕保さん(東京都出身)が2年間の活動を報告。コミュニティ開発隊員としてマラウイの農業普及所に配属された橋本さんは、「主な活動は土壌流出を防ぐために実施されたJICAの技術協力プロジェクトをモニタリングし、その技術をさらに普及させていくこと」と説明。しかし、一緒にフィールドに行こうとする橋本さんに対して、配属先の同僚がさまざまな理由をつけて行きたがらない状況が半年も続き、「自分は本当に必要とされているのだろうかと自己嫌悪に陥った」と当時の心境を語った。

それでもあきらめずに一人でフィールドに足を運んでいくうちに、少しずつ同僚や村長と信頼関係を築くことができたという。「順調に活動が進まなかった時間があったからこそ、自分一人ではできないことが分かり、うまく同僚や村人に頼れるようになった」と振り返り、今後は「さらなる専門性を身に付け、国際社会に貢献できる人材になれるよう精進したい」と話した。

人生で最高の宝物に

タイに日本語教育隊員として派遣された深井さん

続いて、タイに日本語教育隊員として派遣された深井亜衣子さん(東京都出身)が活動を報告。「高校の日本語専攻クラスで授業をしたり、日本語コンテストなどのイベント運営やコンテストに向けた生徒への指導を行ったりした」という深井さんは、日本語を使う仕事に就く生徒はほんの一握りという状況の中で、「いかに興味を持って授業に取り組んでもらうかに、頭を悩ませる毎日だった」と活動を振り返った。それでも、毎年開催されている日本語コンテストの全国大会に2年連続で出場を果たすなどの成果を収め、「私にとって、今までの人生で味わったことのない、最高の宝物になった」と話した。

また、タイで生活する中で文化や言葉の違いに苦しむことがあった自身の経験を踏まえ、「ここ日本でも同様に苦労している外国籍の人がたくさんいる中で、日本語を教えるだけでなく、見知らぬ土地で苦労している人々の心に寄り添った日本語教育をしていきたい」と抱負を語り、活動報告を締めくくった。

その後も、これまでの活動を報告するとともに、今後の決意を新たにするJICAボランティアと、その話に熱心に耳を傾け、労をねぎらう来賓との歓談が続いた。


(注1)これまで青年海外協力隊は88ヵ国に延べ4万676人、シニア海外ボランティアが73ヵ国に延べ5,751人、日系社会青年ボランティアが9ヵ国に延べ1,243人、日系社会シニア・ボランティアが10ヵ国に延べ465人が派遣され、現在もこのうち2,591人のJICAボランティアが活動している。(2015年8月31日現在)

【来賓国会議員】横路孝弘衆議院議員(日本・中南米友好議員連盟会長)、髙木義明衆議院議員(JICA議連名誉会長)、江田五月参議院議員(参議院日本・モンゴル友好議員連盟会長)、三原朝彦衆議院議員(JICA議連幹事長)谷公一衆議院議員、伊藤信太郎衆議院議員、尾辻秀久参議院議員、左藤章衆議院議員、越智隆雄衆議院議員、室井邦彦参議院議員(秘書代理出席)、三ツ林裕巳衆議院議員、小田原潔衆議院議員、宮澤博行衆議院議員(秘書代理出席)、野間健衆議院議員(JICA議連副会長)、松下新平参議院議員、江島潔参議院議員