中国へのJICAボランティア派遣30周年式典開催――紡いだ日中の絆

2016年1月15日

約160名の参列者で記念撮影

1986年12月18日、4名の青年海外協力隊員が中国に初めて降り立った。以来、中国でのJICAボランティア事業は途切れることなく継続され、今年はその積み重ねが30年となる、日中双方にとって特別な年である。

2016年1月8日、美しい青空の下、北京市内の中日青年交流センターにて中国へのJICAボランティア派遣開始30周年記念式典が行われ、日中双方の関係者等約160名が参加した。

JICA柳沢理事のスピーチ

冒頭、JICA柳沢香枝理事は中国語でスピーチを行い、中国へのJICAボランティア派遣30年の歴史を振り返った。これまで中国に派遣された774名の青年海外協力隊、33名のシニア海外ボランティアは、中国の人々と共に暮らし(同生活)、共に働き(同工作)、共に考える(同思考)、三同主義の理念の下、それぞれの配属先で活動し、信頼関係を構築してきた。ボランティアが責任感を持って真摯に活動してきたことに対する、現地の評価は高く、東日本大震災や日中関係が困難な状況に直面していた時期にも、ボランティアが中国の方々から心温まる言葉を頂いたエピソードを紹介。活動を通して、ボランティアと中国の人々が相互の国と人々への認識を新たにしたと述べ、中国と日本の国民間の繋がりがより太く、重層的なものとなることを祈念すると締めくくった。

スピーチに熱心に耳を傾ける参列者

続いて中国科学技術部国際合作司 ジン(漢字は革に斤)暁明(Jin Xiao Ming)司長(局長)からの祝辞では、JICAボランティアがほぼ中国全土において、草の根レベルで日中友好の深化へ貢献してきたことへ敬意が示され、常に真摯な態度で活動をする姿に感銘を受けたことが強調された。このほか挨拶をした在中国日本大使館の伊藤臨時代理大使、日中友好病院の王副院長、発表をした人民教育出版社の皮日本語編集室副主任も、それぞれに配属されたJICAボランティアの人となりや、活動への取組について、賞賛を惜しまなかった。

活動当時を振り返る坂本元協力隊員

元JICAボランティアを代表し坂本毅氏(1991年〜1994年まで日本語教師隊員として活動)が講演。活動場所である内モンゴル自治区オルドスの深刻な砂漠化を目の当たりにし植林事業の夢を抱いたこと、帰国後数年の会社員生活を経て、オルドスで教え子と再会。逞しく成長し、地元で活躍する教え子達と地域を巻き込む緑化事業を立ち上げたこと、緑化費用工面のため、地元の岩塩等物産を日本で販売するビジネスを興し、樹木のみならず換金作物である薬草の生産で地元の生計向上も図っていること等を、緑化が進む現地の写真も活用しつつユーモアを交えて語った。坂本氏が隊員としての活動にとどまらず、当時の人とのつながりや着想を発展させ、オルドスの発展と日中交流に今でも貢献し続けていることは、会場の日中双方の聴衆に大きな感銘を与えた。

活動中JICAボランティアを代表し、山田祐也隊員(2014年から日本語教育隊員として活動中)が、学習歴1年半とは思えぬ流暢な中国語で活動内容を紹介した。山田隊員は、「活動開始当初、日本と中国の違いに興味を持っていたが、活動が進むにつれ、日本人も中国人も同じように喜怒哀楽を感じる、同じ人間であることへの認識を高めていった。さらに、円滑に活動を進めるためには、ボランティアと活動場所の人々双方が互いに刺激し合い、相乗効果を高めることが重要と認識した」と熱く語った。

現役協力隊員が中心となり、練習した炭鉱節を披露

JICA中国事務所が作成した動画「JICAボランティア事業の歩み」も上映。動画ではボランティアの写真とともに、ボランティアを受け入れてきた中国側関係者がその人柄や思い出等を語った。最後にボランティアが中心となり参列者へ浴衣を着付けたり、参列者を巻き込んで炭坑節を踊ったり等日本文化を紹介し、温かい雰囲気の中で式典は幕を閉じた。

来賓からの祝辞や動画で、JICAボランティアの真摯な活動への謝意が繰り返し伝えられたことに象徴されるように、30年を経た現在でも中国の人々とボランティアが友情で結ばれ、活動終了後もその関係を保っていることが端々に窺えた。草の根レベルで活動するボランティアは、中国の一般市民との相互理解を促進し、人と人との絆を強めるうえでも重要な役割を果たしていることが実感できる式典となった。