日本とケニアの架け橋を目指して——日本の企業文化、もてなしの心など学ぶインターンシップに

2016年2月2日

ABEイニシアティブの主な取り組みとして、JICAでは「修士課程およびインターンシップ」プログラムで2017年までに900人の研修員を受け入れる。このうち第1バッチ(注1)149人が、2015年7〜9月にかけて民間企業でのインターンシップを体験。受け入れた企業は65社に上った。

同プログラムには、すべての研修員が参加する「夏季インターンシップ」と、企業推薦の民間人材研修員(注2)を中心に参加する「卒業後インターンシップ」の二つのインターンシップがある。うち第1バッチが体験したのは「夏季インターンシップ」。研修員、企業の双方に感想を聞いた。

(注1)来日した年度ごとの研修員グループを指す。
(注2)日本企業から推薦を受けて応募し、研修員として来日した人材。原則として、企業見学、修了後のインターンを推薦企業で実施することが求められる。

ケニアでの事業展開に知見の共有を期待

工夫のあるプレゼンテーションを行うドリーンさん

ケニアのアウラ・ドリーンさんは、マーケティングコンサルティング会社の株式会社アフリカスキャン(東京都渋谷区)でインターンを経験した。金融機関での勤務経験を持つドリーンさんは、日本とケニアの懸け橋として寄与したい思いと、自身の成長の機会にもしたいとの考えからプログラムに応募。現在は広島大学大学院で国際協力を専攻している。

一方、アフリカスキャンは、2014年からケニアでキオスク(売店)の運営を開始しており、現在は12店舗に拡大している。アフリカスキャンが現地で雇用しているケニア人スタッフはスラム出身で、高等教育は受けていない。多様性に富むケニア市場での今後の事業展開をにらみ、高等教育を受け首都ナイロビに住むドリーンさんの意見やアイデアに大きな期待を寄せていた。

ドリーンさんは、インターンを通じて日本の企業文化や理念、事業内容などを学ぶことができ、またさまざまな問題について共に考えることのできる貴重な機会になったと振り返る。日本の「もてなしの心」や、日本人の勤勉さ、日本の組織について見ることができ、良い経験になった、今後も「人間」を中心に据え、既存の問題の持続的な解決に影響を与える組織で働いていきたいと意欲を語った。

売れ筋商品の選定などマーケティング実践も

プレゼンテーション後に活発な意見交換をするドリーンさん(右)と、アフリカスキャンの齋藤良行さん

アフリカスキャンの親会社は、医療分野でのソーシャルマーケティングを行う株式会社キャンサースキャン。その特徴を生かし、キオスクを利用して地元住民の体重や血圧などの基本的な健康チェックサービスの提供も開始。また、店舗運営における在庫管理や受発注管理にPOSシステム(注)を使用しているほか、マーケティングにはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や、携帯電話のショート・メッセージ・サービス(SMS)などを活用している。

インターン中には、こうした経営・マーケティング手法についても学んだほか、同社のキオスクで需要がありそうな商品を、ドリーンさんが日本の百円均一ショップで選定し、SNSを通じて現地消費者からの反応を集めるマーケティングも実践した。

インターン期間中にはまた、ドリーンさんが何度かプレゼンテーションする機会もあり、「内容はもちろん、見せ方、伝え方も工夫していて素晴らしかった」とアフリカスキャンの福吉潤代表取締役社長は絶賛。短い期間ではあったがすぐに環境に溶け込み、真剣に課題に取り組む姿が高く評価されている。

アフリカスキャンの澤田霞ケニア支社長は、ABEイニシアティブを通じて日本のビジネスや価値観などを理解しているケニア人との連携を検討したいと話す。日本での経験を生かして日本とケニアの懸け橋として活躍してほしいと期待は大きい。

(注)店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステム。