日本のソフト・パワーと連携した国際協力——「キャプテン翼」が張られたごみ収集車をスーダンへ

2016年2月9日

キャプテン翼が張られた収集車
© Yoichi Takahashi/SHUEISHA

「スーダンの皆さんにキャプテン翼を知っていただいていて、ありがたく思います。これを機会に、子どもたちをはじめ、スーダンの皆さんが環境問題に興味を持ってもらえたら、大変うれしく思います。この収集車が、スーダンの社会に貢献できることを願っています」

2016年2月6日、「キャプテン翼」の著者高橋陽一先生のメッセージが、「キャプテン翼」ステッカーが張られたごみ収集車80台と共に無償資金協力「ハルツーム州廃棄物管理能力向上計画」引渡し式典でスーダンの人々に届けられた。

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式典には多くの関係者が集まった

スーダン・ハルツームのごみ処理の課題 

町にはごみが散乱している

スーダンの首都ハルツームはごみ収集車の数が足りず、地域によっては2ヵ月もの間収集車が来ない地域がある。ごみ収集の仕組みも脆弱で、いつどこでごみ収集するかが決まっていないため、住民は家庭のごみを道の路地や広場に適当に捨て、街中にごみが散乱しているのが現状だ。

プロジェクト導入後のごみ収集場所

これを解決すべくJICAはごみ収集車を届け、市内で走るごみ収集車を増やすほか、技術協力「ハルツーム州廃棄物管理強化プロジェクト」を通じて日本式の「定時定点回収」(ごみ収集場所・収集時間を決めて集める仕組み)を導入し、ごみが市内に散乱することを防ぎ、収集場所にごみがまとまることで効率的なごみ収集が行われることを支援している。

ただし、この日本式の定時定点回収が導入されるためには行政側の努力だけでは不十分で、決められた場所・決められた時間にごみを持っていくことの大切さを住民が理解する必要がある。住民がごみ収集に関心を持つきっかけ作りとして、スーダンで人気の高い日本の「キャプテン翼」との連携が効果的と考えられた。

「キャプテン翼」でごみ収集への理解に高い効果を期待

© Yoichi Takahashi/SHUEISHA

世界中で、プロのサッカー選手をはじめとする多くのファンを持つ作品「キャプテン翼」は、スーダンで90年代初頭からアニメも長く放映され、そのキャラクターたちは子どもから大人まで幅広く親しまれている。「キャプテン翼」のごみ収集車がハルツームの至るところで人々の目に止まることで、ごみ収集への関心が口コミで高まり、ごみ収集の必要性を住民が理解することに貢献することが期待されている。

また、「キャプテン翼」のごみ収集車がハルツームを走るたびに、日本の協力を広く伝える効果もある。顔が見える国際協力が求められている中、世界でも有名な「キャプテン翼」と連携することで、日本に対する理解と両国の友好関係の促進が期待される。

このようにJICAは日本の技術協力、資金協力を進めるうえで、日本が誇るソフト・パワーを有機的に組み合わせる包括的な課題解決にも取り組んでいる。

ソフトとハードを組み合わせたJICA廃棄物分野の協力

建設中の車両整備工場

JICAはスーダンにおいて2010年から廃棄物分野の協力を開始した。まず専門家をスーダンに派遣し日本の廃棄物管理の理解を深めてもらった上で、ハルツーム州廃棄物行政の基本方針(マスタープラン)の作成を支援した。

2013年に承認されたこのマスタープランに沿って、日本式の廃棄物管理を導入するための技術協力を2014年から開始し、「定時定点回収」のほか、廃棄物処理場や中継場の管理能力の向上を行っている。さらに無償資金協力事業を組み合わせ、供与した収集車を長く使えるよう、3月完工の予定で車両整備工場を建設中だ。