JICA研修の受講者、ベトナム国家体制の中枢へ——党中央委員会に選出の100人中33人を占める

2016年2月10日

ベトナムの国家体制の中枢を担うベトナム共産党が5年に1回開催し、党指導部(任期5年)も選出する党大会が、1月20日〜28日に首都ハノイで開催された。全国の共産党員450万人の代表1,510人が集まり、2016〜20年の書記長、中央委員会の委員などを選出した。

共産党中央委員会は、共産党における政策決定を担う重要な組織。次期中央委員は200人で構成され、留任枠100人を除く100人のうち、33人を、JICA、人事院、一般財団法人公務人材開発協会の支援で実施した「国家指導者候補者研修」の受講者が占める結果となった。

政治学院初の国家指導者候補者の育成研修を支援

HCMAでの講義が終わっても日本人専門家への質問が続く熱心な参加者

人事院の吉田耕三人事官には、ハノイと日本、双方の研修でお話を聞いた

ベトナムには、全国の公務員のうち、課長級以上の研修を担う専門機関「ホーチミン国家政治学院(HCMA)」がある。ベトナム共産党と政府が直轄する機関で、1949年に設立され、66年に及ぶ歴史を持つ。ただ近年では、国際化など時代の変化を受け研修内容の改善が必要とされており、中でも、欧米の制度を適切に応用しながら取り入れてきた日本から学びたいとの声が高まっていた。

そこでHCMAでは、今年の共産党大会で中央委員会委員の候補となる約500人を対象に、初めての試みとなる「国家指導者候補者研修」を2013年3月から開始。JICA、人事院、(財)公務人材開発協会の協力のもと、日本からの講師派遣と、成績優秀者の日本での研修を軸にプログラムを構成し、今後のベトナム政府を担う人材の育成を行ってきた。3年間に実施された研修は計6回で、参加した公務員や、国有企業の幹部などの準公務員は511人に上る。このうち来日して研修を受けたのは、成績優秀者113人だった。

中央委員会の委員は、党大会に参加する党員の投票によって選ばれる。次期中央委員200人(正式委員180人、補欠委員20人)のうち、今回の党大会では、留任枠を除く100人について投票。日本で研修を受けた113人から、正式委員に25人、補欠に8人が選ばれ、今回選出された委員の3分の1を日本研修の経験者が占めることとなった。

日本での学び生かしベトナムのこれから支える人材に

JR東日本では、「エキナカ」を見学しながら民営化後の駅周辺開発についての経験を学んだ

日本で学んだ113人の中には、帰国後に、
・鉄道の安全管理基準の改定する取り組み
・日本政府の人事制度を参考に職員の人事評価制度の導入
・インフラ建設での環境安全を提言
など、日本で得た知見と経験を具体的に生かし始めている事例も少なくない。ベトナムのこれからへの貢献はもとより、日本とベトナムの強力な架け橋としても、研修参加者の今後の活躍が期待される。

JICAが実施してきた、国家指導者候補者研修を含むHCMA研修能力の強化を目指すプロジェクトは、今後のベトナムの政治と行政を担う人材を数多く育成したほか、研修資料や運営ノウハウの蓄積を達成した。引き続き5月からは、HCMAの研修管理部門や研修講師などに対するより良い研修マネジメントを支援する専門家を派遣する予定で、今後もベトナムの政治行政の中核を担う人材育成や、人材育成に必要な体制作りの支援を継続していく。