バーレーン、ODA卒業国で初の「コストシェア技術協力」――JICA、新形態での支援開始で産業振興をサポート

2016年4月7日

25社から約70人が詰めかけたセミナー。壇上には日本からの専門家(左)

JICAは今年1月、ODAを卒業した国を対象に、相手政府が一部コストを負担する新しい協力形態「コストシェア技術協力」の第1号として、バーレーンでの協力を実施した。今後はオマーンやクウェートでの支援が検討されており、日本の技術や経験を基にしたODA卒業国への協力にさらなる広がりが期待される。

「カイゼン」専門家がセミナー・企業指導を実施

どの参加者も熱心に専門家の話に耳を傾けた

訪問した企業の現状を視察し、カイゼンに向けたアドバイスをした

「コストシェア技術協力」は、2013年の安倍晋三首相の中東訪問時に表明された新しい協力のスキームだ。

安倍首相の中東訪問後、JICAがニーズ調査を実施。バーレーン政府機関で、国民の雇用促進のための研修プログラムを実施している労働基金(タムキーン)から、中小企業の品質向上や経営効率の改善のため、「カイゼン(注)」活動普及についての日本人専門家派遣の要請があった。

バーレーン政府からの要請を踏まえ、今年1月31日〜2月9日にかけて、コストシェア技術協力第1号として専門家派遣が実現。「カイゼン」活動普及のセミナーを開催したほか、中小企業訪問も実施した。

セミナーには、バーレーンの中小企業25社から約70人が参加し、専門家は「カイゼン」について紹介。専門家はその後、「カイゼン」活動のパイロットプロジェクトとして中小企業3社を訪問し、現状診断やカイゼン指導を行った。参加者からは「短期間ながら実に多くの学びがあった」「今後も継続指導を強く望む」との声があり、引き続きJICA専門家がバーレーン国内の中小企業振興をサポートすることが望まれている。

バーレーンは、130万人に上る人口の半数以上を外国人が占め、民間部門の80パーセントを外国人労働者に頼っている現実がある。この状況に対して、今回、コストシェア技術協力の枠組みで専門家の派遣を要請したタムキーンは、国民の国内での就業促進を目指す活動を行っており、JICAは今後もタムキーンと協議しつつ、この枠組みでの支援を検討していく。

ODA卒業国への継続支援の新しい形

企業訪問では、今後のサポートを強く期待される関係を築いた

JICAではまた、ODA卒業国として同じ中東地域にあるオマーンの海洋環境保全マスタープラン作成支援、クウェートの電力・水省庁向け専門家派遣などの案件形成を行っている。

日本の高い技術、豊富な知識や経験は、ODAを卒業した国にとっても貴重なものであり、それらを学びたい卒業国のニーズに合わせてJICAは「コストシェア技術協力」を活用し支援を拡大する予定だ。

(注)日本企業で活用されてきた「みんなで職場を継続的に改善していこう」という活動を指し、あらゆる分野に広く普及している。