皇太子同妃両殿下が帰国した青年海外協力隊員にご接見

2016年7月22日

両殿下に帰国隊員がそれぞれの活動について報告した

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国した青年海外協力隊員の代表8人が6月28日、東宮御所で皇太子同妃両殿下にご接見を賜った。

両殿下にお目にかかったのはアジア、大洋州、中南米、アフリカ、中東の国々に派遣されていた青年海外協力隊員8人。

ご接見に先立ち8人は、JICA本部で小川登志夫JICA青年海外協力隊事務局長と歓談し、現地での活動を一人ひとり報告した。

【画像】

前列左から篠倉さん、鯉渕さん、岩瀬さん、塚本さん、後列左から加藤さん、久住さん、小川事務局長、岩田さん、北さん

お寺で開催される仏教学校で子どもたちに授業する北さん(右奥)

【スリランカに合う方法を開発し普及活動】
北俊宏さん(30歳、大阪府出身)は、スリランカ第2の都市キャンディの市役所に派遣され、廃棄物行政向上のために分別収集の導入、家庭用コンポスト(生ごみの再利用)の指導、環境教育プログラムの導入活動を行った。シンハラ語を駆使し、学校やお寺、ホテル、市民集会などでの環境教育プログラムを実施。家庭用コンポスト指導では、当地に合わせた方法を開発し、普及に努めた。

自主トレーニングメニューを手に取り、笑顔の入所者

【障害者の日常生活活動の維持と向上につながる提案】
岩田研二さん(30歳、愛知県出身)は、タイの首都から南8キロに位置する、サムットプラカーン県にある入所型障害者ホームで活動を行った。職員が少なく、入所者同士が助けあう環境下で、運動療法の方法を文字と絵で説明したパネルや、エクセルを用いた自主トレーニングメニューをタイ語で作成した。また、簡単にできる体操の考案などを通して、日常生活活動の維持・向上のための取り組みを行った。

助産師隊員と共に母親学級の普及活動を行う塚本さん(左)

【新生児と母親の健康向上ために尽力】
塚本恵弥(えみ)さん(39歳、岡山県出身)は、ブータンの首都ティンプーにある国内最大の総合病院の新生児センターに、初代助産師として派遣された。院内での5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の推進、職場環境の改善に取り組んだ。また、早産児の低体温予防のためのニット帽作りをティンプー市内の小学生から高校生を中心とした学生たちと行い各地の病院に配布する取り組みや、参加型母親学級の普及にほかの地域で活動する助産師隊員と共に取り組んだ。

目隠しをして助けを求める人を聴覚のみで探す煙体験ゲームを指導する久住さん

【防災対策の国家チーム創設への調整に尽力】
久住元太(くすみ・げんた)さん(28歳、北海道出身)は、ソロモンの首都の国家災害管理局に配属され、防災教育・啓発活動を中心に活動した。コミュニティーレベルでの災害対策と、災害発生時の初動体制に着目して、幼稚園や小学校での防災啓発授業を実施した。さらに、災害発生時の対応が警察のみであった状況から、国家緊急対応チームを創設するべく、関係機関、特にソロモン赤十字との協議を調整した。

ナショナル大学の体育学科学生に野球の講義をする加藤さん

【JICAと読売巨人軍の協力協定のきっかけ作る貢献】
加藤直樹さん(30歳、福島県出身)は、コスタリカの首都から北20キロに位置するサントドミンゴ野球協会において活動した。小学校を巡回し野球教室を実施、国立ナショナル大学では、体育教師を目指す学生への野球指導、指導方法の普及を行った。読売巨人軍ジャイアンツアカデミーの発行する少年野球用教本をスペイン語に翻訳し、JICAと読売巨人軍が野球普及・振興のため協力協定を締結するきっかけとなるなど、コスタリカでの野球の普及に大きく貢献した。

家計簿講習会では買い物ゲームも実施。右が岩瀬さん

【ボランティア派遣の調整で住民の生活改善に尽力】
岩瀬沙織さん(31歳、鹿児島県出身)は、パラグアイの首都から南東に約350キロ離れたラ・パス市の日系移住地で活動。市の実施する「総合コミュニティー開発プロジェクト」と連携した、農業・公衆衛生・家政分野から構成されるボランティアグループ型派遣のコーディネーターとして、プロジェクト内や関係者間との調整を行った。手作り家計簿の作成、パラグアイ人農家による朝市の立ち上げなど生計向上や生活改善に貢献した。

共同水栓拡張工事を一緒に行ったカメルーン人と共に(右から2人目が鯉渕さん)

【多面的活動で地域住民に寄り添う】
鯉渕(こいぶち)智江さん(28歳、茨城県出身)は、カメルーンの首都から北西320キロに位置する西部州ペンカミッシェル郡のコミュニティー教育・開発センターに配属され、現金収入向上活動(石鹸・ジャム作り、ネリカ米栽培、キノコ栽培など)を推進した。村落部への水道拡張工事の資金を調達し、受益者からも協力を得ながら施工し、村への水の供給を実現。また、地元自治体ウェブサイトのアップデートに努めるなど、多くの地域住民に裨益する多面的な活動を展開した。

教材などの制作ワークショップにて、教育省スタッフのサポートをする篠倉さん(左)

【情操教育の普及と定着に寄与】
篠倉(ささくら)知佐さん(30歳、兵庫県出身)は、ヨルダンの首都アンマンから南南西30キロに位置するマダバ市の教育局に派遣され、幼稚園教育の拡充、特に情操教育の普及、定着に取り組んだ。遊びを通して社会性を形成する手法を紹介し、地区関係者と教育省本省の協力体制構築に多大なる貢献をした。また、幼児教育分野在外研修を他隊員と共に開催し、ヨルダンおよび周辺国の幼児教育レベル向上に寄与した。

ご接見後、JICA本部で事務局長を含め行った歓談の際には、「両殿下は熱心に話を聞いてくださった」「活動の内容や現場の様子についても多くのご質問をいただいた」など和やかなご接見の様子を語った。

帰国後は新しい職場で就業する者、元の職場に復帰した者、また大学院に進学し専門性をさらに深めている者もいるなど、それぞれの現状を報告した。

協力隊に参加したことで、自主性が増した、忍耐力や問題解決力がついたなど自身の意識の変化を感じているとの声も多く、活動の成果が公私ともに帰国後の生活に生かされている様子がうかがわれた。