アフリカの新聞記者の視点で見た日本とは?――期待される日本の技術と開発の経験

2016年7月27日

JICAの招きで来日したアフリカの新聞記者が、6月27日〜7月8日、日本の民間企業や行政サービスの現場などを取材した。JICAは年に1回、日本やJICA事業への理解を深めてもらうことを目的に、開発途上国の新聞・テレビなどのメディア関係者を招いて視察や取材の機会を提供している。

英語圏、仏語圏アフリカから記者14人が参加

今年は、エジプト、ケニア、タンザニア、南スーダン、ルワンダ、ウガンダ、モザンビーク、ザンビア、ガーナ、モロッコ、マダガスカル、コンゴ民主共和国、セネガル、コートジボワールの14ヵ国14人が参加。8月にケニア・ナイロビで初のアフリカ開催となる第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)が開かれるのを前に、アフリカの発展に向けて活用が期待される日本の技術や経験を自らの目で視察した。

来日した一行は、最初にJICAのアフリカ支援や、日本とアフリカの関係、さらに明治の近代化から戦後復興に至る日本の開発の歴史などを学んだ後、インフラ・都市開発、保健、産業人材育成、環境・防災などの現場を取材するために日本各地の施設や企業を訪れた。

インフラ・都市開発をテーマにした取材では、ICTを活用した社会の実現を目指す富士通の取り組みを紹介する富士通ネットコミュニティと東京23区のごみ処理を管理する東京二十三区清掃一部事務組合の練馬清掃工場を訪問。産業人材育成では、アフリカでビジネスを行うコマツの粟津工場、ABEイニシアティブで研修員をインターンとして受け入れた実績のある前川製作所を視察した。

また、保健分野では、アフリカの感染症対策に取り組む長崎大学熱帯医学研究所や東京都大田区保健所の母子保健事業を、環境・防災では宮城県東松島市の復興政策を取材した。約2週間のプログラム期間中、参加者たちは取材現場で見たこと、感じたことを記事にし、本国の編集部へ送った。

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富士通ネットコミュニティでは、防災に配慮した「スマートシティ」の将来予想図、最先端の認証システム「静脈認証」などについて説明を受けた

ゴミ処理やリサイクル技術に高い関心

「Le Potentiel」(コンゴ民主共和国)のシプリアン・カプク・カブンダ記者は、JICAの北岡伸一理事長への取材を元に、アフリカ開発へのJICAの関わり方をテーマに数本の記事を執筆した。

カブンダ記者は「アフリカの発展には平和と安定が何よりも必要であること。そして、安定が訪れれば日本の援助プロジェクトがアフリカにおいてインパクトを持つことなどを書いた。日本の経験をアフリカの発展に生かすという言葉は非常に印象深い」と振り返り、「アフリカは今、日本の技術を必要としている。慈善事業ではなくビジネスのパートナーとして、アフリカの開発に貢献してほしい」と期待を寄せた。

「The New Times」(ルワンダ)のピーターソン・トゥムウェバゼ記者は、スマートシティをつくるためにルワンダが日本から学ぶこと、練馬清掃工場で見た日本のリサイクル技術などを記事にした。「日本の街が非常にきれいなことに、参加者みんなが感心した。革新的な技術を生み出す日本にアフリカが学ぶことはたくさんある」と日本の印象を語った。

また、日本からアフリカへの投資に関して、「アフリカでは中国人やアラブ人、ヨーロッパ人はたくさん見かけるが、日本人を見かけることはあまりない。しかし、アフリカで走っている車のほとんどが日本製で、みんな日本車が好き。日本企業にももっとアフリカに来てほしい」と語った。

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前川製作所では、環境調和型ダイナミクスアイス空調システムを見学。アフリカのビジネス戦略などについて、さまざまな質問が寄せられた

「The Ghanaian Times」(ガーナ)のジェームズ・ヤオ・マコーリー記者は、ガーナを中心にJICAがアフリカで実施しているプロジェクトや長崎の戦後復興と平和構築などを記事にまとめた。視察では特に練馬清掃工場で見た東京23区のごみ処理の運営管理システムが印象に残ったとのことで、「街がきれいなことに非常に驚いた。記事には、日本のシステムを私たちが取り入れるためのアイデアも書いた」と述べた。

「長崎や東松島で、日本が戦争や震災からどのように復興したのかを知ることができたのは意義深い。東松島では、東日本大震災で人々が助け合い、前進していこうという姿を見ることができたのは非常に印象深かった」と振り返った。

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大田区保健所では母子手帳が貢献する日本の母子保健システムについて話を聞き、妊婦体験ジャケットも体験した。また、両親学級に参加していた妊婦さんへのインタビューも行った

TICAD VIのケニアでの開催を8月に控え、「アフリカの開発課題に貢献する日本の経験」をテーマに、アフリカの新聞記者を招いた今回の招へい。参加者は先端技術などの日本の強みだけでなく、日本の開発・復興経験からの教訓や、少子高齢化など将来に向けて直面する課題も含めて今の日本を取材した。

参加者が日本で自分の目で見て感じて、取材したことを、自国の読者にわかりやすく伝えることで、自国の発展に適用可能な日本の経験や教訓についての認識が高まることが期待される。