仏語圏アフリカ唯一の保健人材ネットワーク、日本でシンポジウムを開催——JICA研修を契機に設立から5年目迎え「東京宣言」

2016年9月26日

高い関心を集め、会場には多くの人が詰めかけた

9月8日、「仏語圏アフリカ保健人材ネットワークRéseau Vision Tokyo 2010(通称RVT)」が東京で第6回アフリカ開発会議(TICADVI)記念シンポジウムを開催した。

RVTは、JICAの研修を受け各国に帰国した研修員が主体となって2012年1月に設立した組織で、仏語圏アフリカで機能している唯一の保健人材のネットワーク。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC、注)の実現に向け、強靭な保健システムの構築を目指すためリーダーシップを発揮することを「東京宣言」の形で宣誓し、閉幕した。

アフリカ13ヵ国の保健人材が共通の課題解決に取り組む

パネルディスカッションで発言するスカンデラ事務局長(中央)

会場からも活発な意見、質問が出された

JICAは、2009年度から、国立研究開発法人国立国際医療研究センターの協力を得て、仏語圏アフリカの保健人材管理関係者を対象とした日本での研修を実施。2013年度までに、10ヵ国から延べ76人が参加した。

この研修を通して、仏語圏アフリカ各国においては、特に医師・看護師・助産師をはじめとする保健人材の都市部・地方での偏在、保健人材情報の更新など、共通する課題が多くあることが明らかになった。そして、これら仏語圏アフリカ諸国に共通の課題の解決に向けて取り組むことを目的に、8ヵ国の帰国研修員が中心となってRVTを設立。その後、5ヵ国が加わり、現在は13ヵ国が参加(※)している。

(※)設立当時の参加国は、コートジボワール、コンゴ民主共和国、セネガル、トーゴ、ニジェール、ベナン、ブルキナファソ、マリ。その後、ギニア、ブルンジ、モーリタニア、ガボン、中央アフリカが加わっている。

RVTでは、隔年の総会や研修・ワークショップの開催、参加国が抱える共通の課題に対する調査研究などの活動を積極的に実施しており、保健人材にかかわる課題解決に向けた仏語圏アフリカ地域ネットワークとしての役割が期待されている。

2014年からの西アフリカ地域でのエボラ出血熱の流行の際、複数回にわたるエボラ出血熱の流行と鎮静化の経験のあるコンゴ民主共和国が、RVTを基盤とした研修で共有。国際機関や各国から高い評価を受けるなど、知見や情報の共有が進んでいる。

各国の解決策探求にリーダーシップを誓う、JICAも引き続き支援

「今こそ私たちのリーダーシップが必要」と強調するオマスワ氏

シンポジウムに先立ち、若手人材が日本で有識者と知見を共有した

今回のシンポジウムは、8月末にアフリカ・ケニアで開催された第6回アフリカ開発会議(TICADVI)を記念し、「UHC達成に向けた保健人材課題へのアプローチ−世界の潮流の中で地域ネットワークが果たす役割−」と題して開催。設立から5年目を迎えたRVTの活動と成果をより広く紹介するとともに、課題解決に向け多角的な視点からの意見交換、RVTをはじめとする地域ネットワークの活動推進について議論することなどを目指した。

世界保健人材連盟の初代事務局長を務めたフランシス・オマスワ氏の基調講演では、アフリカの保健システム強化にはさまざまなネットワークを巻き込むことが重要と指摘。RVTの取り組みや果たしている役割について高く評価し、今後もアフリカ連合(AU)など、ほかのネットワークと連携しながら活動を継続してほしいと語った。

シンポジウム閉幕時には、「東京宣言」をまとめ、UHC実現の重要な柱となる保健人材の計画的な養成・配置と、それを国の優先課題として取り組むことを各国に対して呼びかけた。またRVT事務局としては、各参加国が効果的・持続的な解決策を探求できるよう支援し、リーダーシップを発揮することを宣誓している。

JICAは、RVTの発足後、2014年から、RVTの活動を技術協力プロジェクトで支援。事務局の運営支援や、参加国の経験共有、技術交換、調査研究活動などをサポートしている。このプロジェクトは2019年までの予定で、今後も支援を継続する。

(注)「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを指す。