JICA、中米経済統合プロセスへの貢献に「ジャガー勲章」――米国開発庁、世界貿易機関に続く団体受章

2016年10月13日

ジャガー勲章を受章する高野剛JICA中南米部長(右)

JICAは10月11日、中米経済統合一般条約常設事務局(SIECA)から「中米経済統合プロセスへの貢献・功労者勲章(通称:ジャガー勲章)」を授与された。ジャガー勲章の授与が始まった2014年の米国国際開発庁(USAID)、昨年の世界貿易機関(WTO)に続く、団体受章となった。

中米7ヵ国とドミニカ共和国の計8ヵ国で構成される中米統合機構(SICA)はSIECAの上部組織で、同地域の経済・社会の統合を推し進めている。JICAは2001年からSICAへの地域協力アドバイザーの専門家派遣を開始し、15年以上にわたり協力してきた。特に経済統合に資する物流・ロジスティクス分野やインフラ気候変動対策分野でのJICAの各種の取り組みが評価され、今回の受章が決まった。

SICAと直接対話でアクションプランを策定

SICAとJICAの直接協議は、来年以降も継続される

SICAに加盟しているのは、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、パナマ、ベリーズ、ホンジュラス、ドミニカ共和国の8ヵ国。(注)

JICAは、日本と中米5ヵ国の外交関係樹立80周年となった昨年に、SICAと直接的な協力対話を初めて実施。「SICA-JICA地域協力アクションプラン2015-2020年」の策定を実現し、今後は毎年、継続的な協議が行われることも決まった。

同アクションプランは、「地域公共財」(地域に共通の政策・戦略、越境インフラ、地域ブランドなど)の創出による、国境を越えた地域レベルの開発課題の解決に資する協力の実施を目的としたもので、
1) 物流・ロジスティクス
2) 気候変動対策としての道路橋梁インフラ強化
3) 生態系・湿地帯保全
4) ジェンダー(女性の経済的自立支援)
――の4分野を地域協力の重点分野として定めた。

中米地域道路橋梁インフラ水理・水文対策マニュアル

来年からは具体的なプロジェクト協力を開始すべく、現在各分野でさまざまな準備作業が進められている。

中でも「物流・ロジスティクス」と「気候変動対策としての道路橋梁インフラ強化」の2分野でのJICAの取り組みは、このたびのジャガー勲章受章の決め手となった。

具体的には、中米地域運輸交通大臣審議会メンバーの日本への招へいや、基礎情報収集調査を通じた地域課題の診断分析などを実施。さらに、過去の二国間協力の成果を活用し、JICAが同地域で初の地域公共財として策定した「中米地域道路橋梁インフラ水理・水文対策マニュアル」も高く評価されている。

地域レベルでの経済・社会開発を支援

SIECAカルメン・ジセラ・ベルガラ事務総長(右)と米崎地域協力アドバイザー

現在は、米崎紀夫SICA地域協力アドバイザーが、SICA事務総局があるエルサルバドルを拠点に、地域全体に対する支援を続けている。

米崎専門家によると、EUやASEAN、アフリカ地域の各種地域共同体に比べて小規模で、地理的に大変狭隘(きょうあい)な地域を複数の国が国境により細分化している。このため、一国のみでは解決が難しい、いわゆる「越境問題(クロスボーダーイシュー)」が多いことがSICA地域の特徴と指摘する。

「中でもJICAが支援してきた物流・ロジスティクス分野は、人口数百万人程度の小国単独では達成しがたい経済開発を支援するSICAの最優先分野の一つ」だという。物流改善は、中南米地域への日本の開発協力の効率性をより高め、さらには日本企業にとってもビジネス環境整備につながることが期待されると話す。

「加盟国政府の合意形成は容易ではないが、地域に寄り添いそれを支援するJICAに対する信頼度はより高まっている」と語っている。

JICAでは、SICAと策定したアクションプランを来年からプロジェクトなどを通じて実現を目指す。今後もSICA地域に特有の課題の解決と、地域レベルで取り組むからこそ可能になる「地域公共財」の創出を通じた経済・社会開発を支援し続ける。

(注)日本は1995年から毎年、SICAと政策協議(日本・中米「対話と協力」フォ−ラム)を実施。2005年は日・中米交流年として、SICA加盟国および準加盟国との間で「日本・中米首脳会談」を開催し、「東京宣言」と「行動計画」が採択された。同宣言をベースにODA事業を通じさまざまな広域・二国間ベースでの協力支援が行われてきた。また、2010年以降は、日本がSICA域外オブサーバー国となりほぼ毎年のペースで政策協議を開催している。