日本式教育をエジプトの子どもたちへ――健やかな発達と学力向上のカギは「特別活動」

2016年10月20日

「ほうき」と「ちりとり」で教室をきれいに

子どものころ、誰もが学校生活で経験した掃除や日直。それら学級活動を中心とした、教科授業以外の「特別活動(以下、特活)」が、エジプトで広がろうとしている。特活は、身体的、情緒的、また知的側面からもバランスのとれた発達を目的とした、日本式教育の基本構成要素だ。

人気は「日直当番」、なぜ?

2015年1月、エルシーシ大統領が、エジプトを訪問した安倍晋三首相に、日本の教育への強い関心を示したことが、エジプトへの日本式教育導入の発端。「アラブの春」以降、政情不安や経済低迷といった状況に直面してきた同国では、国の未来を担う子どもたちへの教育が大きな課題となっている。

これを受けJICAとエジプト教育・技術教育省(以下、教育省)は、同年10月から2校の小学校において、手洗い、日直当番、掃除、体力測定、計算ドリルを使った5分間補習など、日本の学校で行われている10の活動を試行的に導入した。

がんばれ!今日のリーダー!

特に好評だったのは、日直当番。エジプトでは成績の良い子どものみが学級のリーダーとして先生の手伝いなどを行う傾向にあったが、日直になれば、誰もが一日のリーダーになれる。そのことが子どもたちはうれしくて、順番を楽しみに待っているという。

掃除については、「子どもを働かせるべきではない、子どもがやることではない」という考えから、当初は保護者の反対の声もあった。しかし、子どもたちが家庭でも掃除を始めたことで、理解が得られた。

保護者会で特活への理解を促進

特活はエジプトにきっと根付く――。こうした試みから、特活が同国でも有効性があるものと期待されている。さらに、各教科を能動的に学ぶ基礎を養えることから、学力向上のカギとしての可能性にも期待がかかる。

現在、特活を取り入れたJICA初の技術プロジェクトとなる「学びの質向上のための環境整備プロジェクト」を準備中だ。

教諭も意欲大!「すぐに取り組みたい」

杉田教授のワークショップの様子

JICAと教育省は、新学年のスタートに先立ち、2016年9月19〜22日の4日間にわたり、特活の実践に向けたセミナーを首都カイロで開催した。教育省は、試行対象校を12校に拡大する方針。その教諭、日本式教育に関心を寄せる大学関係者など、延べ300人参加した。

本セミナーには、日本の教育委員会や文部科学省において特活の指導に当たってきた國學院大學の杉田洋教授を招へい。参加者からは、「すぐにでも取り組んでみたい!」などという積極的な声が多数上がり、大好評のうちに終了した。

指導する教諭が、日本の特活を参考に、エジプトに適するように構想し、定着させることができるか。子どもたちがよりよい人間関係を築き、自らが問題を解決する力を養っていくために、JICAはそのプロセスを支援していく。