エチオピアと日本の架け橋となることを目指して――「ABEイニシアティブ」の社会人留学生がインターンシップを体験

2016年11月17日

日本企業がアフリカに進出する際の水先案内人となるアフリカ人材の育成を目的とする「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」。この主な取り組みとして、JICAでは「修士課程およびインターンシップ」プログラムで2014年から5年間で900人の留学生を受け入れる計画です。

うち、昨年9月に来日した2期生がこの夏、大学院の夏季休暇を利用して民間企業でインターンシップを体験しました。

日本企業で「カイゼン」を学ぶ

工場でカイゼン箇所の説明を受けるボガルさん

エチオピアからの留学生、アベベ・モラ・ボガルさんは、9月15日からオグラ宝石精機工業株式会社(本社:東京都大田区)で5日間のインターンシップを経験しました。

オグラ宝石精機工業は、自然界で最も硬いダイヤモンドをはじめ、サファイアやルビーなどの工業用宝石を原材料として精密で微細な加工を得意とする会社。その技術はレコード針に始まり、近年は工作機械および半導体製品に活用されています。

ボガルさんはエチオピア科学技術省に所属し、現在は芝浦工業大学の理工学研究科でデザインと生産性向上のためのシステムエンジニアリングを研究している。インターンシップ先に同社を選んだのは、研究テーマと関係する生産性向上のための「カイゼン」の現場を見るため。

インターンシップでは、本社で宝石の加工について、その用途や市場、製造工程などの説明を聞いた後、埼玉県行田市の工場で製造工程を見学。既成概念にとらわれず、方式・体系・組織を新しくすることなどを通して経営効率の向上につなげるオグラ宝石独自の「ORS(Ogura Renewing System)活動」についても説明を受けました。

日本の技術と職業倫理を移転

工場でカイゼン箇所の説明を受けるボガルさん

オグラ宝石精機工業がABEイニシアティブのインターンシップを受け入れたのは、昨年に続いて今回が2回目。福澤正志取締役工場長は、受け入れの理由を「昔からダイヤモンドの供給元がアフリカだったということもあり、アフリカとの懸け橋の一端を担えるのなら参画していこうという社長の強い思いがあった」と説明しました。

また、ボガルさんについては、「非常に真面目で、カイゼンについて熱心に考えていた。『こうしたらどうですか』という前向きな提案もあり、真剣に取り組んでいることが伝わってきた」と評価。「われわれも30年以上にわたりカイゼンを実践してきているので、それが彼の目指すカイゼンに少しでも役立てばうれしい。将来的にアフリカに進出する日系企業に部品を供給する可能性もあり、アフリカへの関心を深めていきたい」と述べました。

インターンシップ最終日にオグラ宝石精機工業の社員の皆さんと

ボガルさんはエチオピア科学技術省で技術移転・開発のチームリーダーを務めていました。帰国後は、日本で学んだ技術やワーキングカルチャーをエチオピアに移転し、日本とエチオピアの民間企業を結びつけるような役割をすることが目標。「今はスタート地点に立ったところなので、これからが大切。日本とエチオピアを結ぶ懸け橋となり、アフリカの工業の発展に貢献できるよう頑張りたい」と語っています。