【ASEAN共同体発足から1年】ミャンマー鉄道版「カイゼン」実施中!――10,000人調査から始まった交通計画がヤンゴンを変える

2016年12月16日

アンケート用紙を手に乗客にインタビューする国鉄職員

「鉄道や駅について、どう思いますか?」。ここは、ミャンマー国内最大の商業都市ヤンゴン市内を走る列車の中。利用者客に直接声をかけているのは、ミャンマー国鉄職員です。

「我々の仕事は国民へのサービス業です。利用客に満足してもらえる仕事でなくてはなりません。何が必要かを知りたいのです」

お金ではなく知恵を使い、小さな努力を積み重ねることでプラスの変化を生み出すという、日本発の手法「カイゼン(=改善)」が、ミャンマー国鉄で始まりました。

ヤンゴンの山手線「環状鉄道」を安全・快適に    

ヤンゴン環状線には輸入された日本の中古車両も走っている

総延長46キロ、38の駅がある環状鉄道が、ヤンゴンの交通を支えています。しかし、その運行状態やサービスは低質で、東京の山手線よりひと回り大きいものの、1周にかかる所要時間は約3倍の3時間。時速15kmというスピードは自転車並ですが、車内で弁当を広げれば、おかずが飛ぶほどガタゴト揺れます。

順調に経済成長を遂げ、諸外国からも注目を集めるアジア最後のフロンティア、ミャンマー。人口510万人の旧首都として、ASEAN統合による恩恵を最大限に享受するためにも、交通機関の整備、改善が不可欠です。

目指すは、時速30キロ。10分の運行間隔で、より多くの人々を快適な駅から運べる鉄道に――。

日本の技術者が共に汗を流し、技術と保線の大切さを伝えた

JICAは2015年に「ヤンゴン環状鉄道改修事業」を開始。新車両の整備や信号システムの更新などを実施中です。

また、線路の改修工事には、日本の技術者が2013年から2年10ヵ月間、約600人に伝えてきた技術が生きるなど、既存のプロジェクトとの相乗効果も発揮されています。

鉄道旅客サービス向上は、駅の「カイゼン」から             

国鉄職員の前代未聞の取り組みに、現地メディアも大注目!

鉄道の持続的な運行・保守、旅客サービスの担い手であるのは、国鉄職員。

その問題意識向上こそ不可欠と、2016年3月から実施中のワークショップに、JICAが講師として現地に招いたのは、JR東日本の初代サービス部長東充男氏。

まず目が向けられたのは、玄関口である駅でした。一人一人の国鉄職員が利用者の立場でサービスを考えられるように――。冒頭のインタビュー調査にはそんな意図が込められました。

早速、英語表記が追加された案内表示

待合スペースにベンチを設置する、トイレを清潔に、外国人向けの案内表記をする、などが早速実行された「カイゼン」です。調査は今後も月1回を目処に実施予定。排水施設やプラットフォームの整備など山積みのリクエストにも、国鉄職員は前向きです。

未来のヤンゴンを描いた「交通マスタープラン」にも…  

高速道路イメージ図

実は、鉄道改修事業の基盤となっている「ヤンゴン総合都市交通マスタープラン」、この計画こそ、市民の声を聞き取り作成されたものでした。JICAは2012年から2014年にかけて、10,000人を対象にインタビュー調査を実施。交通手段や利用駅などについて地道な調査を行い、乗換施設や道路交差点の改良が有効な地域などを特定、ヤンゴンの未来交通網は描かれました。

マスタープランの実施完了予定は2035年。地下鉄の整備も提案されています。経済発展を担う重要なインフラのひとつとして鉄道が機能するために、JICAは今後も総合的に支えていきます。