開発経済の知見を深めた「ABEイニシアティブ」での経験——祖国コートジボワールの平和と発展に向けて

2017年2月7日

カン・デイヴィッド・ンドリさん(33)は、コートジボワール出身。「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ『修士課程およびインターンシップ』プログラム(Master’s Degree and Internship Program of African Business Education Initiative for Youth)(以下、ABEイニシアティブ)」の留学生として日本に滞在しました。

コートジボワールに経済活動の安定を

デイヴィッドさんは、コートジボワールでリサーチの仕事に就いており、専門は開発経済学。祖国は数十年もの間、内戦と政治危機が続き、ようやく復興に向けた人々の努力が芽を出してきたところです。「情勢不安で、平和でない状態が続けば、また同じ問題に直面することを繰り返すだけ。一番の課題は、どのように平和構築を行って、一人一人が『コートジボワール』という国の国民であると感じられるようにするかです」

すでにアフリカで開発経済学の修士号を取っていたデイヴィッドさんは、さらに力を付けるため海外留学の機会を探してABEイニシアティブを知りました。経済活動を安心して進められる環境を整えて、海外からコートジボワールにもっと投資家を呼び込み、国内の個人投資家の活動も活性化できるような道を開いていきたい。そうすれば国はもっと早く復興が進み新興国になれるはず、と考えています。

2014年に来日してから約2年半。2016年6月には新潟にある国際大学国際開発学で修士号を取得しました。修士論文では「国際的な援助がいかに貧困削減にインパクトを与えるか」というテーマで、アフリカの開発援助を分析。リサーチ用のソフトウェアや、経済学の分析手法まで、日本で磨いたスキルを「アフリカで役立てたい」と話します。

日本人のビジネス感覚に「持続可能性」を感じた体験

インターンでプレゼンテーションを行うデイヴィッドさん

2016年6月から半年間は、東京の開発コンサルタント、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルでインターンシップを経験。JICAや世界銀行、各国政府が手掛ける開発プロジェクトを請け負う同社の営業部で、プロポーザル作成のサポートを担当しました。企画の立て方、技術や価格の提案段階から、公示や実施まで、開発協力の具体的な進め方を学ぶことができたと言います。

「ある国に進出するかどうかを判断する時に、治安から環境まであらゆる情報をとにかくたくさん集めるようにと言われました。つまり、その国の全貌を知って、自分たちが最後まで事業を続けられるかを確かめたいと思っている。ビジネスの『持続可能性』は、日本人にとって大切な概念になっているように感じます」

また、日本での生活で驚いたことは「時間に対する考え方がとても厳格。新幹線の到着が1分遅れただけで、車掌が何分も謝罪していました」アフリカでは電車が1時間遅れるのも当たり前。非常に印象的だったそうです。

「先進国に成長した経験」を共有する日本の国際協力

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル営業部で、デイヴィッドさんと一緒に仕事をしたチーム(奥側列左端がムルガブーパティさん)

日本での仕事の厳しさを想像して不安もあったそうです。インターン先は、日本人だけでなく世界各国からのスタッフが集まった国際的なチーム。日本企業らしい文化をしっかり身に着けていた同僚からの学びも多い半年間になりました。

受け入れを担当したインド出身のムルガブーパティさんは、デイヴィッドさんについて「開発コンサルティングを行うわたしたちの仕事に関連するプロジェクトや専門技術のことも理解しながら、仕事をサポートしてくれた。彼の仕事の穴をどう埋めるか悩みます。機会があればいつかまた一緒に働きたいし、デイヴィッドさんのように優秀な人材が日本やアフリカの開発協力に関わるきっかけになったら、素晴らしいと思います」と、話します。

「世界有数の先進国に成長した日本が、自らの経験を開発途上国、特にアフリカの国々と共有してくれる。これは日本の国際協力の強みだと思います」日本で学んだことを持ち帰り、故郷の安定と経済の活性化に貢献する夢をふくらませて、デイヴィッドさんは帰国の途に就きました。

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