日本の省エネ技術が東欧セルビアを変える

2017年2月16日

 

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セルビアの首都ベオグラード

日本の省エネルギー(以下、省エネ)への取り組みを学ぶため、東欧セルビアからJICA研修員として日本を訪れたミリヤナ・スタメニッチさん。彼女の熱意がきっかけとなり取り入れられつつある日本の世界最先端技術やシステムは、セルビアの省エネへの取り組みを大きく変え、そのノウハウは同じ課題を抱える東欧諸国とも共有されています。

世界最先端の日本の省エネ技術をセルビアへ

プレゼンテーションを行うミリヤナさん

エネルギー自給率わずか6%(注1)の日本にとって省エネは最重要課題。2度のオイルショックの経験から官民挙げた取り組みが進み、現在そのエネルギー効率は世界トップクラスです。

2005年の初来日時、ベオグラード大学機械工学部の調査アシスタントだったミリヤナさんは、自分の国に新しい技術や知識が必要だと実感していました。
そんな彼女にとって研修で目にする日本の先端技術、取り組みは全て生きた教材。どのようにして自分の国に取り入れるか、具体的なイメージを膨らませながら研修期間を過ごしました。その結果、研修終了時には具体的なアクションプランが完成。セルビアに帰国後、日本式省エネの特徴である「エネルギー管理士(注2)制度」の導入を自国で実現するため、JICAバルカン事務所に相談しました。

「この協力は日本の優位性を生かして具体化できるのではないか」。
当時、JICAバルカン事務所で産業開発分野を担当していた村上職員は、彼女のアクションプランの内容と、具現化に向けたその積極的な行動に感銘を受けたといいます。

エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

 

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ミリヤナさんからの相談を受けたJICAはセルビア政府と準備を進め、2009年、「エネルギー管理士制度」導入に向けた青写真を描くため「エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理導入調査」を開始。セルビアと日本の工場で同じ品質の同一製品を作る場合、セルビアでは日本の4倍近くのエネルギー量を必要としているなど、調査の結果、様々な側面からエネルギー管理士の有効性が明らかになりました。

国の大きな目標、「EUへの加盟」を果たすためには消費エネルギーの大幅な削減が必須課題のセルビア政府は、その調査結果を踏まえ、2013年3月に「エネルギー効率利用に係る法律」を制定するなど、日本式省エネの導入を本格的に開始。

開所式典でスピーチをするセルビア鉱物エネルギー大臣

JICAも、その積極的な取り組みを継続的に支援するため、翌2014年に「エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理制度拡大支援プロジェクト(2014年〜2017年予定)を立ち上げ、エネルギー管理士やエネルギー診断士の養成を始めました。

2016年10月には、ベオグラード大学内にエネルギー管理士やエネルギー診断士の養成を行う研修施設が完成。開所式典において、セルビア鉱物エネルギー省のアレクサンダー・アンティク大臣は、日本の協力に対して感謝の言葉を述べるとともに、自国民に向けて、省エネの重要性を訴えました。

「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」。
SDGsでも目標の一つとして掲げられているエネルギー問題。
ミリヤナさんの熱意が伝えた日本の省エネ技術が、少し先の未来、セルビアの人々の意識を変え、さらにはセルビアのエネルギー事情をも変えているかもしれません。
日本の持つ世界最先端技術を生かし、JICAは今後もエネルギー問題に取り組んでいきます。

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「日本の泉」は、日本の支援に対する感謝の印として、セルビア国民の発案で設置された

(注2)エネルギー管理士 
エネルギーを無駄なく使用するため、エネルギーを消費する設備の維持や、エネルギーの使用方法改善、監視、その他経済産業省令で定められた業務を管理する人。(エネルギーの使用の合理化等に関する法律 第11条参照)

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