JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2016表彰式――「未来の地球のために―私たち一人一人にできること―」

2017年3月3日

JICAは、次世代を担う中学生、高校生に開発途上国の現状や日本との関係について理解を深め、国際社会の中で自分たちがどのように行動すべきか考えるきっかけにしてもらうため、毎年エッセイコンテストを実施しています。2016年度のテ―マは、「未来の地球のために―私たち一人一人にできること―」。過去最多の応募総数となり、2月18日にJICA地球ひろば(東京都新宿区)で行われた表彰式には、上位入賞者のうち32人が参加しました。

家庭で、学校で、自分にできる行動を

表彰式では受賞者を代表して、中学生の部でJICA理事長賞を授賞した脇捺夢さん(滋賀県・県立守山中学校2年)と高校生の部でJICA理事長賞を授賞した眞崎由梨佳さん(佐賀県・学校法人松尾学園弘学館高校2年)が受賞の言葉を述べました。

「ポリオのことを多くの人に伝えたい」と話す脇さん

脇さんは弟が予防接種の生ワクチンでポリオ(急性灰白髄炎)を発症したことから、家族で不活化ワクチンの導入を訴える署名活動に参加したことをエッセイにまとめました。「私は周りの人よりもポリオのことを知っている。私にできることは伝えること」と応募の動機を説明。「どんな問題も、まずは知ること、そして伝えることが大切。エッセイを通じてポリオのことを多くの人に伝えられることを嬉しく思う」と述べました。

「『私たち目線』でいるうちは、まだ本当の国際協力ではない。『心』で向き合うことが大切」と話す眞崎さん

眞崎さんは、ミャンマーの難民キャンプに絵本を届ける運動に参加し「絵本の中の幸せな世界を見て、祖国を知らない難民キャンプの子どもたちはどう思うのだろうか」と疑問に感じ、国際理解、国際協力は「相手の立場に寄り添うことが大切」とエッセイにつづりました。「将来、国際協力に関わりたいと思っているので、今回の受賞は励みになった。これからの私にできることを一つずつ増やしたい」と語りました。

世界に羽ばたく可能性に期待

「夢の実現に向けて頑張ることは若い人の特権」と話す越川副理事長

JICAの越川和彦副理事長は、過去の受賞者には、その後、国際的な活動に携わっている人がたくさんいることにふれ、「先輩に続いて世界を舞台に活躍してほしい」と応援の言葉を述べました。

「開発途上国の本当の姿を自分の目で見て、耳で聞きましょう」と話す小山内さん

今年度から名誉審査員長に就任した脚本家の小山内美江子さんは、ポリオを発症した弟のことを書いた作品を紹介、幼少時にポリオを発症した自身の弟の思い出を語りました。「エッセイを読んで、日本ではポリオのことを知っている人は少ないと改めて思った。しかし、途上国には、ポリオの子どもも、読み書きができない子どももまだたくさんいる。それに対して、自分たちに何ができるのか考えてほしい」と呼びかけました。

グロ―バルな視点と将来性を評価

「初めての審査は大変だったけど面白かった」と話す尾木さん

講評では、今年度から中学生の部の審査員長に就任した教育評論家で法政大学教職課程センター長・教授の尾木直樹さんが、「ニュースでは開発途上国のことはあまり報じられないにもかかわらず、作品からはグローバルな視点が垣間見えて頼もしく感じた」と講評しました。また、大学のゼミの教え子が卒業旅行で命を落としたスキーバス転落事故に触れ「大学卒業後に途上国にボランティアとして行くことが決まっていた学生もいた。世界に出て行こうとしていた彼らの分も、皆さんには夢を実現してほしい」と述べました。

「作文としての完成度よりも、みなさんの将来性に期待」と話す星野さん

高校生の部の審査員長を務めた女優・エッセイストの星野知子さんは、作文から垣間見えた若者の感受性と行動力に感動したことを振り返り「作文としての質よりも、驚きや憤り、疑問から何を考え、どう行動するかを重視した。皆さんの作品はその点が優れていた。賞には、将来も、いろいろなことに刺激を受けて行動してくれるだろうと期待を込めている」と述べました。さらに「大人になって自分の感受性が鈍くなったら、作文を読み返して頑張っていた今の自分を思い出し、気持ちを奮い起こしてほしい」と将来の活躍に期待を寄せました。

最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞の受賞者には、副賞として約1週間の海外研修が贈られます。参加者は夏休み期間に、青年海外協力隊の活動現場やプロジェクトサイトを訪問し、開発途上国の暮らしや、国際協力の現場を視察する予定です。