世界の女性に輝きを――「国際女性の日」に寄せて

2017年3月7日

3月8日は、「国際女性の日」。

すべての人がさまざまな場で、個人の意思や能力を発揮できる社会の実現に向けて、世界が歩みを進めています。

完成した校舎で学ぶ女子中学生たち(写真提供:株式会社マツダコンサルタンツ)

商品を手に笑顔

しかし、依然として著しいジェンダー格差が残っており、特に途上国では、貧困、教育、保健医療、災害などの側面において、厳しい環境におかれている女性が多いのが現実です。

これまでもJICA はあらゆる事業の実施において、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを図る努力をしてきました。

その支援が結実した最近の例は、女子であることを理由に進学を断念せざるを得ない子どもが多かったパキスタン南部の農村で、女子中学校18校が開校したこと。また、中央アジアのキルギスでは、「地元の恵みが魅力」の商品作りで女性の力が開花。日本、そして世界へと販路を拡大する成果をあげました。

そして、犯罪や暴力から女性を守ること、さらに「変革の担い手」として女性をとらえ、その声を生かし、社会をよりよくしていくための支援が動きをみせています。ここでは、人身取引対策支援、防災支援について紹介します。

「人身取引」被害女性の新たなスタートのために 

国同士が長い国境線を接し、人や物の移動が盛んな東南アジアのメコン地域。家族を支えるためにと出稼ぎに出た女性たちの人身取引被害が、多く報告されています。

JICAでは、2009年からタイにて、「人身取引被害者保護・自立支援促進プロジェクト」を実施しました。

【画像】タイは、著しい経済発展から労働力が必要とされており、さらに地理的条件から、人身取引被害者の受け入れ国であるとともに、外国への送出国、経由地でもあります。

国をあげて人身取引撲滅に尽力するタイ政府との強い協力関係のもと、大きな成果となったのが、「多分野協働チーム(MDT)」の能力向上です。

「シェルター」と呼ばれる保護施設への支援では、JICAボランティア(左)も活躍。写真提供:JICA専門家

被害者の保護から医療・経済面の支援、新たな生活を始めるまでのリハビリや職業訓練のためには、複数の省庁や民間団体を含む関係者の機関の枠を越えた連携が不可欠。

チーム全体の調整役となるソーシャルワーカーを軸に連携を強めるため、研修を通じた関係者間の対話や、保護の過程で活用するガイドライン作成などを支援しました。

さらに、元被害者である女性たちが運営するNGO「LOL」の活動も継続的に支援。カウンセリングスキルなどを身につけ被害者に寄り添うのは、自らも被害者であった女性たちです。「一緒に泣いて、一緒に笑い、助け合うことで前を向いて歩いていける」(LOLスタッフ)。今では、講師としてワークショップなどを通じた啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

【画像】

LOLによる高校での啓発活動の様子。経験を笑い飛ばすような演劇で、学びと感動を与えた。

続くプロジェクトとして、2015年4月より「メコン地域人身被害者支援能力向上プロジェクト」を実施中です。

人身取引対策において支援実績のあるミャンマー、ベトナムのほか、ラオス、カンボジアと連携することで、国境を越えた人身取引を根絶するためのネットワーク強化を目指しています。2017年2月には第7回となるメコン地域ワークショップを開催しました。タイにおける支援の成果をはじめ、各国での取り組みや課題を共有。学び合いが促進されています。

人身取引分野の支援は、世界有数の援助機関であっても、その問題の繊細さから協力が難しいこともあります。あらゆる支援において、現地に寄り添い活動してきた各国からの信頼が、JICAの強みです。今後も、女性たちの安全と将来を支える支援は続きます。

関連トピックス:

「災害リスク」にジェンダーの視点を      

自然災害が発生した際、多くの場合、男性や障害のない人に比べ、女性や障害者などがより多く犠牲になっている事実をご存知でしょうか。東日本大震災でも、岩手・宮城・福島の3県での死者数において、女性の方が1,000人ほど多かったそうです。

仙台市岩切地区の防災リーダーの女性が経験を共有

この背景には、災害において特に脆弱な人の声が政府や自治体まで届いておらず、防災計画策定の現場に参画できていないことが大きく影響しています。

日本も、この点において進んでいるわけでは決してありません。開発途上国と双方で学びあうことが重要です。そこでJICAは、2016年2月より、アジアを中心に7カ国から行政機関、市民団体の代表を招き、東北において研修を実施。作成した活動計画が自国で推進されるためのフォローアップも行っています。

参加国のひとつスリランカでは、帰国した女性研修員が意欲的に行動し、同国政府と共に国際シンポジウムを開催。見知らぬ男性と共に行動をしてはならないという宗教上の制約による避難誘導の課題などが明らかになり、このほど女性・子ども省において、ジェンダー視点を反映した防災計画が予算化されました。

日本国内にあるJICA拠点では、途上国の女性が参加した防災訓練研修も

JICAは、今後2年にわたり、同研修を実施していく予定です。

関連トピックス:

ジェンダー支援にこの人あり

田中由美子国際協力専門員

人身取引対策支援、防災支援へのジェンダー主流化の取り組みなど、現在JICAが実施しているジェンダー関連の支援について中心となって推進してきたのが、田中由美子国際協力専門員です。

「すべての人が暮らしやすく、災害にも強靭な社会を作るためには、女性の活躍が不可欠です。今はまだ、脆弱な立場に置かれている世界の女性たちが、もっとその力を発揮し、様々な場でリーダーとして活躍できる、そんな社会に思いを巡らせてみてください」。